2021年11月28日掲載

槻木恵一理事長が記念講演を行い盛会となる

「いい唾液の日」制定記念講演会、日本唾液ケア研究会設立総会を開催

「いい唾液の日」制定記念講演会、日本唾液ケア研究会設立総会を開催
 さる11月28日(日)、横浜ベイシェラトンホテル(神奈川)およびWeb配信にて「いい唾液の日」制定記念講演会日本唾液ケア研究会設立総会(日本唾液ケア研究会主催、槻木恵一理事長)が開催された。日本唾液ケア研究会は、今年4月に設立し、唾液の健康効果を普及啓発することで、国民の健康に貢献することを目的とした団体である。なお、いい唾液の日「いい(11)つば(28)」(語呂合わせから決定)とは、ヒトの体にとってきわめて機能的な役割を果たす「唾液」の役割を周知するとともに、多くの人に口腔から全身の健康増進を心がけてもらうことを目的としている。

 第1部の記念セレモニーでは、理事長の槻木氏(神歯大教授)より、「いい唾液の日」記念日の意義について、「唾液の機能や重要性を普及させ、歯科の世界を広げると同時に新たな健康への知見獲得を目指したい」との想いが語られた。その後は、鹿島 勇氏(神歯大理事長)による来賓挨拶、ピアノとヴァイオリンによる記念ミニコンサートが行われた。

 第2部の記念講演会では、「唾液の全身における感染症予防のメカニズムと歯科医療 ―日本唾液ケア研究会の果たす役割も含めて―」をテーマに槻木氏による講演が行われた。槻木氏は、冒頭自身の経歴を紹介するとともに環境病理学を専門に活動してきたことを述べた。また病理医の視点からう蝕の病因論について、医師の病気の捉え方と歯科医師の考えている病気の捉え方で差異を感じており、医科の治療中心の体系ではなく、予防を意識した歯科独自の病因論に基づいた体系をつくるべきと主張した。

 その後槻木氏は、腸-唾液腺相関について解説。短鎖脂肪酸(大腸内で細菌代謝により食物繊維を代謝し産出され腸内環境を整える)KOマウスを用いた研究結果を基に、腸内細菌叢のバランスが改善されると腸管免疫が賦活化され、微生物の粘膜上皮接着抑制作用、ウイルス・酵素・毒素に対する中和作用などをもつ生体にとってきわめて重要な防御機構を担うIgAの増加をもたらしているのではないかとの考えを述べた。

 最後に「唾液から歯科を変え、唾液から新しい産業を創出する、一緒にこのミッションを実現しませんか!」と投げかけ盛会となった。

 第3部では、NPO法人化設立総会が行われ、設立、事業計画案、収支予算の議決が行われ閉会となった。

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