2023年4月22日掲載

「歴史を積み重ね、より深みのある新たな財産となる発表会へ。」をテーマに

福岡豊歯会40周年記念発表会が開催

福岡豊歯会40周年記念発表会が開催
 さる4月22日(土)、23日(日)の両日、レソラNTT夢天神ホール(福岡県)およびWeb配信のハイブリッド形式にて、福岡豊歯会40周年記念発表会(大串奈津貴会長)が「歴史を積み重ね、より深みのある新たな財産となる発表会へ。」をテーマに開催され、盛会となった。

 福岡豊歯会は、河原英雄氏、増田純一氏、玉利尚之氏を発起人に、歯科臨床の知識・技術を学ぶ場として1981年12月15日に福岡の地に誕生したスタディグループ。2021年に発足40周年を迎えたが、新型コロナウイルスの影響により今回悲願の記念発表会開催の運びとなった。

 初日はまず、大串会長(福岡県開業)による開会の辞が述べられた後、4名の会員によるSESSION1が行われた。演題、演者を以下に記す。

「レントゲン写真を読み解く」江藤 慶氏(福岡県開業)
「エナメル質初期う蝕に対する取り組み-経過観察を治療介入し治癒を目指す-」千手成寿氏(福岡県開業)
「GPの歯内療法だからこそ必要なアイテム」深町太伊地氏(福岡県開業)
「広汎型歯周炎(Stage.3 Grade.C)ケースレポート~部位ごとの治療選択を考える~」小川允知氏(福岡県開業)

 なかでも小川氏は、歯周炎の部位特異性を考慮したうえで、4つの部位においてすべて異なる治療方法を行った症例をその根拠とともに提示。その後、会場の参加者からも質問が寄せられるなど盛り上がりを見せた。

 つづいて、会員4名によるSESSION 2が行われた。演題、演者を以下に記す。

「日常臨床におけるIOS(intraoral scanner)の応用」武居宏樹氏(福岡県開業)
「小児矯正における筋機能訓練の重要性」岡本高太郎氏(福岡県開業)
「機能美を追求した全顎矯正治療」山尾康暢氏(福岡県開業)
「リマウント法を活用した“前歯で噛める”総義歯作製」福島秀文氏(福岡県勤務)
 
 なかでも福島氏は、旧義歯のコピーデンチャーを用い、旧義歯における水平的・垂直的顎位の情報を新義歯へと移行させるステップとその有効性について解説した。


 2日目はまずSESSION 3が行われ、現在の福岡豊歯会を牽引する中堅歯科医師である2名が登壇。大串氏による「矯正治療による歯列不正へのリスクマネジメント~歯根吸収を併発していた症例を通して~」、布巻純治氏(山口県開業)による「咬合再構成を行ったケースを振り返って~CAD/CAMによる最終補綴移行へのプロセス~」がそれぞれ行われた。

 その後、招聘講師である3名の演者が登壇し、石原 研氏(兵庫県開業)による特別講演1「『物づくり』から『事づくり』へ」、南 清和氏(大阪府開業)による特別講演2「長期予後を見据えて咬合再構成を成功させるために」、渡辺隆史氏(福島県開業)による特別講演3「マルチディシプリナリーアプローチ~下顎前歯位置異常に対する対応~」がそれぞれ行われた。いずれの講演も、長い臨床経験に裏付けされた示唆に富んだ内容であった。

 盛会裏に終了した本発表会。大串会長の「発足から40年、先人が積み上げられてきた長く深い歴史はわれわれの財産であり、これからまた歴史を積み重ね、後輩の先生方に深みのある新たな財産を増やし続けていきたい」という想いが伝わる熱い2日間となった。なお、この2日間の模様は、きたる5月1日(月)から31日(水)までの間、オンデマンドにて配信される予定。

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