2023年6月30日掲載

「超高齢社会におけるGPの役割」「デジタルデンティストリーの現状と課題」などをテーマに

2023年 臨床歯科を語る会が開催

2023年 臨床歯科を語る会が開催
 さる6月30日(金)から7月2日(日)の3日間、クロス・ウェーブ府中(東京都)において、2023年 臨床歯科を語る会(斎田寛之実行委員長)が開催された。本会は歯科臨床の研鑚を目的に1981年に発足し、 1年に一度、全国各地のスタディグループが一堂に会して、歯科におけるさまざまな分野についてディスカッションを行う会である。

 2日目には、壬生秀明氏(東京都開業)の座長のもと、中山伊知郎氏(石川県開業)、林 直也氏(東京都開業)、山本大吾氏(熊本県開業)、安藤正明氏(千葉県開業)らが新人発表を行った。

 全体会では、「超高齢社会におけるGPの役割」をテーマに、松島良次氏、齋藤秋人氏(ともに東京都開業)、松田光正氏(熊本県開業)、鷹岡竜一氏(東京都開業)らが登壇した。松島氏は口腔機能低下症の概要とそれを早期に発見するための患者のサイン、口腔機能低下症と診断された場合の対応について述べた。齋藤氏は、自身が行う訪問診療の経験から、今診ている患者が介護施設への入居や在宅介護になる可能性を考え、だれもが着脱しやすい義歯を製作することが重要であると述べた。松田氏は、患者が自身の口腔内に埋入されているインプラントについてまったく把握していないことに警鐘を鳴らし、歯科医院側のマナーとして、埋入したインプラントのメーカーなどをしっかり患者に伝えることで、その後に訪問介護などで診ることになる歯科医師が正確に対応できるようになると話した。鷹岡氏は、昨今、少歯高齢化社会から多歯超高齢化社会へ変化してきていると述べ、少数歯欠損への対応について解説した。患者の口腔内の状況をペリオタイプとカリエスタイプに分け、ペリオタイプの少数歯欠損患者には歯の喪失傾向に、カリエスタイプの少数歯欠損患者には力の集中に配慮して補綴設計を検討するべきだとまとめた。

 午後には、2題のポスター発表後、分科会が行われた。分科会では「歯の保存のボーダーを再考する」「成長期の叢生における早期矯正治療を巡って」「どうする欠損補綴~攻めるべきか待つべきか それが問題だ~」のテーマごとに3つに分かれ、それぞれ講演発表が行われた。

 初日、2日目の夜には「夜の部屋」として、「若手症例相談の部屋」、「私のクリニックでの取り組み」、池田雅彦氏(北海道開業)が道場主として2名の症例発表にアドバイスを送る「池田道場」が行われ、各会場では夜中まで真剣な議論が交わされた。

 3日目の全体会「デジタルデンティストリーの現状と課題」では、新井俊樹氏、野本秀材氏(ともに東京都開業)、猪狩寛晶氏(福島県開業)、梅原一浩氏(青森県開業)らが登壇し、「今後アナログからデジタルに変わる治療、変わらない治療」「口腔内スキャナーを用いた補綴治療の精度」「アライナー矯正におけるCADソフトおよび3Dプリンターの活用」「デジタル化の臨床における現状の課題」などについて講演とディスカッションが行われ、盛会のうちに幕を閉じた。

 次回の2024年 臨床歯科を語る会は、きたる2024年7月5日(金)から7日(日)の3日間にわたり、斎田寛之実行委員長(埼玉県開業)のもと、本年と同会場のクロス・ウェーブ府中で開催予定である。

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