2023年7月1日掲載

「Hint for life 歯科医療の最適解を求めて」をテーマに

第11回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会開催

第11回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会開催
 さる7月1日(土)と2日(日)の両日、北海道歯科医師会館において、第11回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会(川端秀治大会長、国賀就一郎会長)が、「Hint for life 歯科医療の最適解を求めて」をテーマに開催された。本会では大講堂での講演のほか、DTセッションとコデンタルセッションが行われ、合計14名の演者が登壇した。

 そのうち大講堂では、国賀会長の挨拶と川端大会長の開会宣言に続き、同学会顧問の筒井照子氏(福岡県開業)が登壇し、基調講演「包括歯科臨床の役割 これからの歯科医療への願い」が行われた。ここでは、同学会の根底を成す故・筒井昌秀氏(同学会名誉顧問)による包括歯科臨床の定義と、その定義に基づいて炎症と力のコントロールを行った近年の治療について解説された。そして「もっとも重要なのは口腔が壊れた原因を探し、患者さんとともに取り除くこと」とし、「機器が進化したとしても、やはり残るのは“力(咬合)の基本治療”」と後進に今後の歯科医療に対する願いを伝えた。

 続いて各年代の患者を対象とした包括歯科臨床の役割について、上谷智哉氏(兵庫県開業)による「小児期における口腔機能・形態の発育を考えた口腔育成への取り組み」、筒井武男氏(福岡県勤務)による「成長期における矯正治療の役割」、野村英孝氏(群馬県開業)による「咬合療法を基に治療介入した壮年期の治療から、力のコントロールを考える」、吉田 健氏(長崎県開業)による「フルマウス長期症例の経過報告」、渡邉祐康氏(熊本県開業)による「欠損歯列と欠損補綴―欠損歯列の捉え方と補綴設計」、長田耕一郎氏(佐賀県開業)による「総義歯で健康寿命の延伸へ」が行われ、それぞれ症例を提示するとともに解説し、包括歯科臨床のコンセプトは全世代的に通底するものであることが示された。

 最後に書籍『口腔機能障害のリハビリテーション臨床マニュアル』(小社より刊行予定)をテーマとしたセッションが行われ、同書に掲載予定の症例から筒井氏による「『口腔機能障害のリハビリテーション―臨床マニュアル―』出版によせて」、西林 滋氏(群馬県開業)による「態癖による歯列の狭窄化 人間の一生を左右する予想を超えた悪影響」、任 順興氏(兵庫県開業)による「包括歯科臨床を考えて―Ⅲ級ブレーキーに対する咬合再構成の一例」、太田雅之氏(兵庫県開業)による「個体差を考慮した全部床義歯作製の取り組み」がそれぞれ講演された。

 本学会の最初に行われた筒井氏による基調講演「包括歯科臨床の役割 これからの歯科医療への願い」が、広く、そして次世代に受け継がれ実践されていることが感じられる会となった。

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