2023年7月5日掲載

川名部 大氏、清水宏康氏が「エンド-ペリオの治療戦略」のテーマでWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第39回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第39回WEBINARを開催
 さる7月5日(水)、川名部 大氏、清水宏康氏(ともに東京都開業)によるWEBINAR#39「根分岐部病変に対する歯周組織再生療法のストラテジー」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは「ザ・クインテッセンス」2023年2月号に掲載された連載MY FIRST STAGEの内容をベースに行われた。

 冒頭、川名部氏は左側下顎第二大臼歯に垂直性骨欠損と根分岐部病変Ⅱ度を認める症例を供覧。歯周病の新分類に基づき、「広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードB」と診断した。症例供覧のなかで川名部氏は、歯周組織再生療法を含む歯周外科治療を検討するうえで、(1)根分岐部病変の形態、(2)サージカルデザイン、(3)適切な器具の選択――3つを重要な要素に挙げた。その後は、低侵襲な歯周組織再生療法(entire papilla preservation technique;EPPT)を採用して良好な治療結果を得ることができた治療の一連の流れを解説した。なかでも、レーザー治療を行ったことで術野の確保と骨補填材の安定に成功し、良好な治癒結果を実現させたことをアピールした。

 次に清水氏は、根分岐部病変の水平的要素の分類について文献を示しながら解説するとともに、付加的分類としてプロービングポケットデプス(PPD)や隣接骨縁からの相対的位置などの垂直的要素を鑑みる重要性についてもふれた。続いて、切除的歯周外科療法として、歯根分割を行った症例を供覧。切除的歯周外科療法の利点を述べつつも、自身の経験談もふまえた歯肉縁下プラークコントロールの難しさについても言及した。また、根分岐部への歯周組織再生療法とオープンフラップデブライドメント(OFD)を行った際の比較では、歯周組織再生療法を採用した際の水平的要素をはじめとする指標がより改善されていることを示し、歯周組織再生療法を適用した症例を多数供覧した。

 最後に、根分岐部病変Ⅱ度の垂直的要素の分類と歯の生存率の関連データを示し、垂直的骨レベルを改善させることが歯の生存率を上げることに寄与することを解説した。

 講演後の質疑応答では、事前に寄せられたものも含め多数の質問が寄せられるなど関心の高さがうかがえた。その中で「上顎大臼歯根分岐部のデブライドメントが可能か否かはどのタイミングで判断しているか」の質問については、清水氏が「罹患している根の部位、アクセスのしやすさから保存の可否を見極め、術前に判断している」と回答した。また歯間乳頭の幅が細い症例にsimplified papilla preservation technique(SPPT)後の縫合時の注意点に関する質問には、川名部氏より「3mm以上の距離を保って縫合することや、歯肉弁に力をかけると千切れてしまうおそれがあるため縫合糸に力がかかるように意識し、歯間乳頭部は繊細に扱うこと」とアドバイスが送られた。

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