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2020年12月号掲載

オンライン特別鼎談 災害時の歯科の役割を再考する

オンライン特別鼎談 災害時の歯科の役割を再考する

※本記事は、「新聞クイント 2020年12月号」より抜粋して掲載。

令和2(2020)年7月豪雨、2019年9月の台風19号、台風15号、2019年8月の九州北部豪雨など、枚挙にいとまがないほど自然災害が多発しています。災害はいつどこにやってくるかわかりませんが、災害に対する備えや対策は万全でしょうか。また、災害から逃れたにもかかわらず避難所や仮設住宅といった慣れない生活など環境の変化で、尊い命を落とすことがあってはなりません。
 本鼎談では、災害医療の現場に長年かかわっておられる中久木康一先生、熊谷章子先生、原田奈穂子先生にご協力いただき、それぞれの立場から災害時の歯科の果たすべき役割と、災害支援に対する心構えなどについてお話しをうかがいました。あらためて災害時の歯科の役割を考えてみたいと思います。なお、本鼎談は新型コロナウイルス感染症の影響にともない、オンラインでの収録とさせていただきました。(編集部)

歯科における災害支援活動

中久木:本鼎談では、メインテーマの「災害時の歯科の役割(歯科医師と歯科衛生士を中心に)」について、それぞれの立場から現状と課題についてご説明していただきたいと思います。
 歯科における災害支援活動は大きく3つに分けられ、1つめは身元確認作業、2つめは歯科医療、3つめは歯科保健になります(図1)。歯科保健は、私も地域でかかわっている分野になりますが、それぞれの活動では連携先が異なります。歯科医療は医療チームと連携することが多く、歯科保健は地域の保健や介護、福祉などと連携することが多いです。たとえば歯科衛生士の役割として、災害関連死を予防するための個別のアセスメントや、避難されている集団の方々に対する口腔保健指導や口腔保健の啓発などがあります。
 1995年から注目されるようになった災害関連死と呼吸器疾患の割合のデータでは、災害関連死のうち呼吸器疾患は約2~3割あることが示されています。災害関連死を予防するためには、特に要配慮者とよばれる方々に対して口腔ケアをはじめとする健康支援活動が重要となります。もちろん、要配慮者を確認して問題がなければそれで十分ですが、そうではない場合にどのようなサポートやアプローチが必要になるのかということを医療の側面だけではなく地域保健の側面からもう一歩先を考えることが求められます。
 歯科全体としては、私がかかわらせていただいている災害歯科保健医療連絡協議会が東日本大震災後に設置されました。この組織は日本歯科医師会や日本歯科衛生士会、日本歯科技工士会、日本歯科医学会など歯科関係団体で構成されています。それらの団体間の連携や災害対応に関する認識の共通化を図るとともに、各団体独自の行動計画などの情報集約や共有を促し、有事に際して国や都道府県との連携調整を行い、被災地の歯科医療救護や被災者の歯科支援活動を迅速に効率良く行うことを目的としています(図2)。
 つぎに熊谷先生には、法歯学・災害口腔医学分野のお立場から身元確認作業の現状および課題についてご説明いただきたいと思います。

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