2021年6月号掲載
第5回:論文の読み方・活かし方
論文の読み方(批判的吟味とは)
昨年の米国大統領選挙では“ファクトチェック”という言葉がよく使われました。論文も同じように真実とズレがないか確認が必要です。一方で、実際の臨床ではさまざまな妥協があり、完璧な研究は不可能なため、どれだけ真実に近く信頼できるかを判断します。この判断が「論文の批判的吟味」といわれます。批判的吟味のチェック項目は、論文のタイプによって異なります(図1)。
論文の信頼度チェック 5項目
①ベースラインが同じであるか
2つのグループを比較する場合、たとえば歯周再生療法でFGF2製剤とエムドゲイン®の比較研究とします。歯周ポケットの深さやプラークコントロールなど予後に影響する項目が同等でなければ不公平です。“ランダム”に振り分ければ確率的に公平になります。
②すべての患者を追跡しているか
患者さんの引越しや中断によって研究継続ができないこと(脱落)が実際の研究では生じます。脱落せず、どの程度が継続しているか(追跡率)をチェックします。80%以上なら問題ないでしょう。たとえ脱落が多くともITT(Intention to Treat)解析という方法を用いている場合は、問題にならないことがあります。
③盲検化されているか
研究結果に私心を入れないために必要です。2つのグループを比較するとき、その結果の評価者が「どちらのグループの患者さんであるか」を知っていると、評価が甘くなることがあります。特に歯周ポケット検査はプローブを目視で評価するため、どちらのグループかは知らない方が良いでしょう。評価者だけでなく患者さんや術者、データ解析者も同様です。
④症例数は十分か
研究にはある程度の症例数が必要ですので、事前に計算しているか、チェックします。症例数が多すぎても少なすぎても正しい評価はできません。
⑤結果は適正か
評価方法が適正であるか、研究結果は臨床にどのような意味があるのかを吟味します。たとえば、歯周治療なら歯周ポケットの数値やBOPの計測が重要であり、レントゲンの結果はやや重要性が劣ります。また、ポケットの変化量について、有意差があったとしても0.1mmなどきわめて少ない値であった場合、臨床的な意味は薄く、論文の結果は限定的に考えて良いことがあります。
昨年の米国大統領選挙では“ファクトチェック”という言葉がよく使われました。論文も同じように真実とズレがないか確認が必要です。一方で、実際の臨床ではさまざまな妥協があり、完璧な研究は不可能なため、どれだけ真実に近く信頼できるかを判断します。この判断が「論文の批判的吟味」といわれます。批判的吟味のチェック項目は、論文のタイプによって異なります(図1)。
論文の信頼度チェック 5項目
①ベースラインが同じであるか
2つのグループを比較する場合、たとえば歯周再生療法でFGF2製剤とエムドゲイン®の比較研究とします。歯周ポケットの深さやプラークコントロールなど予後に影響する項目が同等でなければ不公平です。“ランダム”に振り分ければ確率的に公平になります。
②すべての患者を追跡しているか
患者さんの引越しや中断によって研究継続ができないこと(脱落)が実際の研究では生じます。脱落せず、どの程度が継続しているか(追跡率)をチェックします。80%以上なら問題ないでしょう。たとえ脱落が多くともITT(Intention to Treat)解析という方法を用いている場合は、問題にならないことがあります。
③盲検化されているか
研究結果に私心を入れないために必要です。2つのグループを比較するとき、その結果の評価者が「どちらのグループの患者さんであるか」を知っていると、評価が甘くなることがあります。特に歯周ポケット検査はプローブを目視で評価するため、どちらのグループかは知らない方が良いでしょう。評価者だけでなく患者さんや術者、データ解析者も同様です。
④症例数は十分か
研究にはある程度の症例数が必要ですので、事前に計算しているか、チェックします。症例数が多すぎても少なすぎても正しい評価はできません。
⑤結果は適正か
評価方法が適正であるか、研究結果は臨床にどのような意味があるのかを吟味します。たとえば、歯周治療なら歯周ポケットの数値やBOPの計測が重要であり、レントゲンの結果はやや重要性が劣ります。また、ポケットの変化量について、有意差があったとしても0.1mmなどきわめて少ない値であった場合、臨床的な意味は薄く、論文の結果は限定的に考えて良いことがあります。