2026年6月号掲載

簡便な機器・システムで可能になる

【PR】口腔機能の検査・評価・管理

※本記事は、「クイント・オーラル・インフォメーション 2026」より抜粋して掲載。

口腔機能への対応は待ったなし

平野:「8020」が6割を超えた昨今、口腔機能の重要性について顕著にクローズアップされている印象があります。臨床において何か変化は感じられていますか。

五十嵐:義歯の難しい患者さんが増えてきたなという印象があります。総義歯一つとっても、顎堤が吸収してしまって難易度が高い。せっかく良い義歯をつくっても、「うまく噛めない」などと言われることが増えていて、口腔機能を見て管理する重要性を実感しています。

平野:臨床面がそれだけ変わると、今の教育もずいぶん変わっていそうですね。どうでしょうか。

五十嵐:歯科医師国家試験や歯科衛生士国家試験では、口腔機能に関する内容が10問以上、しかも、どんどん新しい内容が出てきているので、実習でも取り上げないと対応できなくなっています。たとえば、以前は口腔機能の検査の方法や、口腔機能の低下の原因に関する問題だったのが、最近では具体的にどういう機能が落ちているのかとか、機能が落ちているものを把握させて、さらに具体的にどういう対応をしなければいけないかまで踏み込んだ問題が増えています。

口腔機能低下症の検査機器は どんどん簡便に進化している

平野:オーラルフレイルは漠然とした概念であったのに対して、口腔機能低下症は2018年に疾患名として正式に認められました。7つの項目のうち、当初は舌圧と咀嚼、咬合圧の3つの検査が精密検査として入っていましたが、年を経て改定が重なるたびに、さまざまな精密検査が入ってきていますね。

五十嵐:口腔機能モニターOramoや口腔湿潤計ムーカスといった機器は代替の検査方法よりも早く簡単だと思います。臨床では処置や指導、管理の時間を長くとりたいので、検査にかける時間はなるべく減らしたい、というのが正直なところです。だから、準備が簡単で、結果もすぐに出てフィードバックできるこれらの機器はとても理想的です。学生においても、2~3回練習すれば自分たちで検査ができるようになるので、診療参加型臨床実習でも実践してもらうようにしています。

平野:本当に使いやすいですよね。口腔機能関連の機器で私がいちばんよく使うのはムーカスです。うちの外来は高齢者に特化した病院なので、口腔乾燥感を主訴に受診される方が非常に多いです。口腔乾燥感なのか、口腔乾燥状態になっているのかを見極めるために、機器で測定して数字で可視化したデータをフィードバックするのは極めて重要なことだと思います。

五十嵐:口腔機能低下症の口腔衛生状態不良は、舌の動きが悪くなった結果である舌の汚れを見ることが大きな要素です。口の中というと、まず歯の状態、義歯の状態を見てしまうところがあるので、口腔内細菌カウンタのような細菌の量を測る、しかも舌に当てて測るというのは、患者さんの目線をそちらに向ける意味でも、とても大事なことだと思います。

平野:これらの機器の開発に際して、口腔衛生や歯科と今まであまり縁がなかった企業が口腔機能に興味をもって参入してくれました。改定ごとにどんどん拡充されて、各企業から新しい機器や、より使いやすい機器が開発されてきているのは、とても喜ばしいことです。また、機器が簡便になることは、研究において疫学データをつくるためにも非常に有用だと思います。

令和8年度診療報酬改定が追い風になっている

平野:今年、令和8年度診療報酬改定が行われまして、口腔機能に関してもいろいろと整備していただきました。五十嵐先生の肌感覚からいうと、どの辺りがトピックスでしょうか。

五十嵐:検査の点数が充実したことも大きいですが、実は管理の点数が充実したところがいちばん大きなポイントではないかと思います。今回の改定で口腔機能管理料が口腔機能管理料1と2に分かれ、口腔機能低下症に該当していれば、少なくとも口腔機能管理料2の算定が可能になったのは大きな前進だと思います。また、先ほど出てきたような機器を用いて診断された場合は口腔機能管理料1としてより高い点数がついていますので、口腔機能管理にはかなり追い風になっています。
 また、歯科衛生士の活躍の場も広がったと考えています。歯科衛生実地指導料に加えて、これまでは口腔機能指導加算という形で評価されていましたが、今回の改定でこれが加算ではなく、単独の点数として口腔機能実地指導料になって、かつ点数もより評価されるようになりました。さらに、口腔機能に関する研修を修了していることが算定要件として設けられ、歯科衛生士のがんばりに対してインセンティブがつくのもとても大きいと思います。

口腔機能の管理を支援する待望のシステムも誕生

平野:口腔機能低下症は7 つの項目のうち3項目以上該当すると診断されますが、その組み合わせは99通りもあるので、それぞれ引っ掛かり方や対応が異なります。では、何をしたらいいのか、どこに注意が必要なのか、なるべく管理がしやすいようなシステムができたらいいなと考えていました。

五十嵐:口腔機能の低下のパターンをある程度層別化して、また年齢階級に応じた口腔機能の状態、これまで蓄積されたデータを統合して、平野先生と一緒にシステムの開発に携わらせていただきました。それが「未来ケアナビ」です。

平野:検査結果をふまえてレーダーチャートで展開されるため、どの項目が低下しているのか拾ってフィードバックして、管理の判断材料にすることができます。また、患者さんの状態が非常に危ないところにあるのか、まあまあ低下は進んでいるもののセーフティゾーンにあるのか、こういう可視化した結果があるとすごくわかりやすいです。何かトレーニングをやるのが管理ではなくて、その見極めがとても重要ではないかと思います。

五十嵐:継続的に来院を続けてもらって、検査を繰り返すだけだと、患者さんからは「何もしてないじゃないか」と思われるかもしれませんが、そう思わせないようにするための話題づくりがわれわれに求められていることではないかと思います。検査をきっかけに、何気ない雑談や生活の話を聞けるところが、実は口腔機能低下のさらに後ろに隠れているバックグラウンドを拾う時間づくりにもなるのではないでしょうか。

平野:すばらしいですね。歯周疾患の管理に加えて、歯が守られているからこそ奏功する口腔機能の管理を一緒にどんどんやっていく。そのような風土というか文化を、いま歯科界で醸成する時期に来たのではないかと思っています。厚労省においても、歯周病、う蝕、そして口腔機能の管理を生涯通じて行うことがかかりつけ歯科医の役割であることも謳っていますので、ぜひその点をご理解いただけたら幸いです。

<参考文献>
1. 厚生労働省保険局医療課. 令和8 年度診療報酬改定の概要【歯科】.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf(2026年3月12日アクセス)