2017年7月23日掲載
小濱忠一氏が登壇し、その優位性を語る
フルデジタル導入セミナー開催される

まず、小濱忠一氏(福島県開業)が、「口腔内スキャナの補綴治療への活用」と題して登壇。自身の歯科用CAD/CAMの臨床応用の歴史を振り返ったうえで、現在はDDO社との連携によって口腔内スキャナおよび光造形模型を用いたフルデジタル化を自身の臨床の一部に取り入れているとし、以下の点において、大きな術者・患者満足が得られているとした。
1.チェアタイムの軽減。
2.印象材料の臭いや印象採得の不快感がない。
3.模型の寸法精度の誤差の回避。
4.咬合採得の誤差の回避。
5.術者間の技術格差の軽減。
その一方で、口腔内スキャナの臨床応用はまだ単冠に限られることや(天然歯の場合)、歯肉縁下への支台歯形成を要する場合は1mm前後までとすべきこと、歯肉圧排は二重圧排法とすべきなど、臨床応用上の注意点について詳細な解説がなされた。その後は、インプラント補綴時のフルデジタル化についても言及し、同様にその優位性と注意点が語られた。
その後は、DDO社員により、口腔内スキャナのデモンストレーションや口腔内スキャナを用いた臨床を行ううえで勘違いしやすい点などが解説されたうえで、同社がこれまでさまざまな歯科医師と行ったフルデジタルによる臨床例が多数示された。
本セミナーをみれば、口腔内スキャナを有しており、天然歯/インプラント修復ともにその適応症例さえきちんと見極められれば、印象採得に始まる補綴治療工程のフルデジタル化は、もはや無理なく臨床応用可能であることが理解できる。しかし、そのためには、本セミナーの企図であった使用機器や周辺材料に対する十分な知識の獲得はもちろん、技工作業を依頼する相手選びやそのコミュニケーションが非常に重要であると感じられた。
なお、本セミナーは8月6日(日)、大阪において再度開催予定とのこと。詳細は「ザ・クインテッセンス」2017年6月号138ページの広告記事を参照されたい。