2021年12月16日掲載

「口元の審美意識が健康寿命を延伸する」をテーマに

(一社)日本歯科審美学会、2021年度第1回学術講演セミナーを開催

(一社)日本歯科審美学会、2021年度第1回学術講演セミナーを開催
 さる12月16日(木)、一般社団法人日本歯科審美学会(大槻昌幸理事長)による2021年度第1回学術講演セミナーが「口元の審美意識が健康寿命を延伸する」をテーマにWeb配信にて開催され、約290名が参加視聴した。

 前半は、池山和幸氏(株式会社資生堂、医学博士、介護福祉士)による講演「化粧療法が健康寿命延伸に及ぼす影響~口腔外ケアのススメ~」が行われた。池山氏は、「『化粧』と聞くと口紅などのメーキャップを思い浮かべる方が多いと思うが、化粧は(1)スキンケアなどの基礎化粧、(2)メイクなどのお化粧に分けられる。身だしなみを整えることを『整容』とよび、歯科を含む医療・介護と化粧品業界を整容という言葉でつなぐことができる。整容には、口腔ケア、手洗い、爪切り、洗顔、整髪、髭剃りなどが含まれる」とわかりやすく解説し、化粧療法とは「美容で健康を目指し、化粧行為によって高齢者のQOLの維持向上を目指すもの」とまとめた。

 また化粧療法とは、化粧行為(スキンケア・メイク)を高齢者みずからが行うことで自立支援を行い、機能的口腔ケアをサポートすることでオーラルフレイルの予防・改善を促すもので、具体的には化粧をすることで笑顔や会話が増える(社会性の向上)、嚥下機能の回復、食事動作の改善などのエビデンスを供覧した。さらに詳しい内容は、『「粧う」ことで健康寿命を延ばす化粧療法 エビデンスに基づく超高齢社会への多職種連携アプローチ』(池山和幸著、当社刊)をご一読いただきたい。

 その後、藤澤政紀氏、磯貝知範氏(ともに明海大)、窪田佳寛氏(東洋大)らによって、学会主導型研究「口元の審美意識が健康寿命に及ぼす影響の調査報告」が行われた。本研究はAIを用いた解析手法で検討する調査準備を進めており、藤澤氏はこれまでの経緯、磯貝氏は実際の調査方法、窪田氏はAIによる解析結果ならびにAI解析の概念をそれぞれ解説した。もともと本研究は、日本歯科医学会による調査・研究活動の一環として行われていたが2021年3月に終了したため、その後、本学会主導型研究として引き継がれたもの。オーラルフレイルなどの予防の観点から口腔の審美に注目した研究は少ないため、今後の調査結果に注目したい。

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