2022年11月13日掲載
その活用やエビデンスに関する7講演が行われる
(株)モリタ、「Er:YAGレーザー25周年の感謝を込めて~進化を止めずに光差す未来へ~」を開催

午前のセッション1は、篠木 毅氏(埼玉県開業)を座長に、2講演が行われた。まず、長谷川嘉昭氏(東京都開業)が「歯周組織再生における廓清と症例選択基準において」と題し講演。長谷川氏は、歯周病を専門とする立場から、歯周外科治療の有無を問わずEr:YAGレーザーはデブライドメントの効果を引き上げるとした。
次に、渥美克幸氏(埼玉県開業)が「デンタルクリニックKにおけるEr:YAGレーザーの活用法」というテーマで講演。渥美氏は、歯内療法の症例を複数供覧し、その根管洗浄時に根管内に水分を充填し、そこにEr:YAGレーザーを用いてwater micro explosionを起こすことにより水の膨張力で洗浄を行うことができることを、動画を用いて解説した。また、根管内で破折したファイルの除去にもEr:YAGレーザーが有効であることを解説した。
午後のセッション2は、津久井 明氏(神奈川県開業)を座長として2講演が行われた。まず、山口文誉氏(神奈川県開業)が「低侵襲歯周組織再生療法Er:YAGレーザーを応用した歯周治療」というテーマで講演。山口氏は歯周炎の分類の変遷などにふれながら、低侵襲歯周組織再生療法には、初期閉鎖が大きな鍵となること、そのためにはフラップデザインが重要であると述べ、さまざまなフラップデザインを用いた症例を供覧した。そのうえで、Er:YAGレーザーとマイクロスコープの併用により、これまでできなかった再生療法が可能になったとした。
次に、船越栄次氏(福岡県開業)が「インプラント周囲疾患治療へのEr:YAGレーザーの応用」というテーマで講演.船越氏はまず、インプラント周囲疾患の分類やその罹患率などについて論文を基に解説。そして、インプラント周囲疾患に対し、歯肉縁上や非外科治療でも到達可能なインプラント表面の洗浄はスーパーフロスとEr:YAGレーザーを併用して行い、外科治療を行う際はインプラント表面の洗浄のほか、再生療法を行う際のデコルチケーションにEr:YAGレーザーを使用するとし、これらの症例を供覧した。
セッション3では青木 章氏(医歯大)を座長とし、3講演が行われた。まず、水谷幸嗣氏(医歯大)が「Er:YAGレーザーの徹底活用~ペリオを治すMIアプローチ~」というテーマで講演した。水谷氏は、Er:YAGレーザー照射の特徴として(1)血餅の凝固、(2)スメア層のない照射面、(3)細胞機能の活性化を挙げ、これらは歯周組織の治癒と再生に必要な要素を満たしているとした。また、深い歯周ポケットに対するスケーリング・ルートプレーニング時は、Er:YAGレーザーの適応が有効だと述べた。
次に、渡辺 聡氏(医歯大)が「Er:YAGレーザーを用いた洗浄能力の考察」というテーマで講演。渡辺氏は、シリンジ洗浄や超音波洗浄などとレーザー群を比較した研究を示し、レーザー群の有効性を示した。また、Er:YAGレーザーは難治症例にも効果的であり、今後、インプラント表面の歯石除去以外でも薬事承認の取得を目指したいとした。
最後に、山本敦彦氏(大阪府開業)が「その方法でインプラント周囲炎治せますか?」というテーマで講演。山本氏は、Er:YAGレーザー発売当初の臨床応用時のエピソードや有効活用のための試行錯誤の歴史を語った。そのうえで、インプラント周囲炎治療における汚染インプラント表面の除去システムである「超進化型water micro explosionシステム」を紹介した。
いずれの講演も、今後のさらなるEr:YAGレーザーの進化と、歯科のさまざまな分野での臨床応用の可能性が期待されるもので、盛会のうちに本フォーラムは終了した。