学会|2025年7月29日掲載

有望な若手インプラントロジストらが登壇し、300名を集める

日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第15回学術シンポジウム開催

日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第15回学術シンポジウム開催

 さる7月27日(日)、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)において日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第15回学術シンポジウム(遠藤 学大会長、細川隆司理事長、簗瀬武史支部長)が「ゼロボーンロスを達成するためのストラテジー」をテーマとして300名を超える参加者を集め盛大に開催された。

 本シンポジウムは、関東・甲信越支部各研修会施設の若手臨床医および研究者により、年次学術大会や支部学術大会で取り上げられないテーマや旬な学術情報を提供し、なおかつ関東・甲信越支部の融和と活性化を図ることを目的として2010年から開催されている。近年は全国的にも認知度が高まり、他支部からの発表も増加している。

 今回のシンポジウムでは、全セッションをつうじて「インプラント周囲骨を吸収させない」という試みが外科・補綴・歯周病および材料学的観点から語られた。以下に演題と演者を示す。

【セッション1】
「Marginal bone lossを考慮したSinus augmentation」山口菊江氏(昭和医科大学歯科病院)
「骨造成時のボーンロスに影響する諸因子に対する考察」柴崎真樹氏(東京科学大学病院)
「顎口腔疾患の治療により顎欠損を生じた患者に対する広範囲顎骨支持型補綴による機能回復」長谷川智則氏(獨協医科大学病院)
【セッション2】
「ゼロボーンロスを目指した上部構造のデザイン」白井麻衣氏(鶴見大学歯学部付属病院)
「歯科材料の観点からみるインプラント治療」五十嵐健輔氏(日本歯科大学新潟病院)
「トルクの原理から学ぶスクリュー固定 セメント固定の再考察」大久保将哉氏(東京都勤務)
【基調講演】
「インプラント治療の変遷」覚本嘉美氏(栃木県開業)
【教育講演】
「インプラントの永続性を高める咬合のマネージメント」吉野 晃氏(東京都開業)
【セッション3】
「シミュレーションどおりの埋入のために―動的ナビゲーションという選択肢―」笠原隼男氏(松本歯科大学病院)
「術前シミュレーションを応用したインプラント治療に必要な知識」吉野剛史氏(神奈川歯科大学附属横浜研修センター)
「歯科衛生士からみたリスクを考慮したインプラントマネージメント―Medical Treatment Modelで考えるボーンロス―」津曲峰子氏(愛知県勤務)
【セッション4】
「歯槽骨CT値(Hounsfield-units)のインプラント安定性への影響」諸井明徳氏(山梨大学医学部附属病院)
「インプラントプラットフォーム辺縁における骨吸収の考察」老川秀紀氏(神奈川県開業)
「インプラントタイプによる埋入深度の考察」安倍稔隆氏(東京都勤務)

 基調講演では、インプラント治療歴44年を誇る覚本氏から自身のインプラント治療の歴史と圧巻の長期症例が提示された。また、教育講演で登壇した吉野氏はインプラント治療における最適な咬合について、まず文献的考察を行い、さらに臨床における構造力学的な問題などを多角的に検討し好評を博した。各セッション後にはディスカッションの時間が設けられ、会場から質問があいついだ。

 なお、次回の第16回学術シンポジウムは、きたる2026年8月2日(日)に同会場にて行われる予定である。

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