2023年11月12日掲載
4年ぶりに対面での開催が実現し、盛況となる
2023年度日本顎咬合学会近畿・中国・四国支部学術大会開催
午前は、2会場で会員発表と歯科衛生士向けの依頼講演がそれぞれ行われた。会員発表の演題・演者は以下のとおりで、いずれも質疑応答を含めて白熱した時間となった。
「顔面神経麻痺を伴う骨格性2級に対し咬合再構成を行なった症例」林 大智氏(大阪府開業)
「予後不良歯に対しsubstituteで対応した咬合再構成症例」中藤信也氏(大阪府開業)
「下顎位の偏位が認められる患者に対し咬合再構成を行なった1症例」芳野 博氏(兵庫県開業)
「変わりゆく支台歯形成」長塚弘亮氏(奈良県勤務)/貞光謙一郎氏(奈良県開業)
「GPによる難治性根尖性歯周炎への対応」西條 翔氏(大阪府勤務)
「デジタル技術の自家歯牙移植への応用」溝渕隆宏氏(高知県開業)
また、歯科衛生士向けの依頼講演では、丸尾 操氏(歯科衛生士、株式会社PASSION)が「歯科衛生士の視点・思考 ~どうみる? どう考える?歯科衛生士業務をブラッシュアップするために~」と題して講演。まずは口腔内をミクロの視点で診ることが重要であるということで、歯肉の色・質・フェノタイプ、プラーク、リスク(カリエス・ペリオ・力)、変化という視点を挙げながら、歯科衛生士としての見方や考え方について症例を交えて詳説。そのうえで、最終的には「人をみる」という視点の重要性にもふれた。
午後は、谷尾和正氏(大阪府開業) による依頼講演「デジタルデンティストリーの最前線」が行われた。氏はまず、「従来の治療法を熟知しなければ、デジタルの正しい活用はできない」と強調し、どこまでデジタルで実践できるのか考えたうえで、アナログから適宜置き換える必要性を述べた。それをふまえて、アナログとデジタルの融合や、デジタル機器の活用について、インレー・クラウン、フルマウスリコンストラクション、インプラントのテーマごとに症例を供覧し、自身の見解を述べた。最後に、「デジタル機器について現段階ではまだ精度が確立していないものも多いため、検証が必要である。アナログ・デジタル双方のすぐれた点を理解したうえでうまく取り入れていくことが重要である」と締めくくった。