社会|2025年7月10日掲載
実践的なプレゼンテーションで明日の臨床に役立つ知識を得る
ケープレVol.6 アライナー矯正治療✕アンカースクリュー開催

さる7月8日(火)、GREEN'S ORTHO(小松昌平代表)が「ケープレVol.6 アライナー矯正治療✕アンカースクリュー」をWeb開催した。「矯正治療を楽しく学ぶ」をテーマとして、若手向けの矯正歯科治療関連コンテンツを発信するGREEN'S ORTHOの恒例企画「ケープレ」は、佐野良太氏(佐賀県開業)、牧野正志氏(千葉県開業)、大門 茂氏(福岡県開業)の3名が歯科矯正用アンカースクリューを用いたさまざまな症例を供覧し、実践的なアイデアをディスカッションとともに共有していく企画である。
今回は、初めて特別ゲストとして中村竜三氏(大阪府開業)を招き、「アライナー矯正治療における歯科矯正用アンカースクリューの活用」をテーマに各氏がプレゼンテーションを行った。
その中で大門氏は、それぞれ別の治療戦略を用いた骨格性Ⅲ級・下顎偏位を有する症例を2例供覧した。骨格的問題があるにもかかわらず外科的矯正治療を拒否されたという難しい症例に対し、歯科矯正用アンカースクリューを用いて歯を排列することでⅠ級臼歯関係および審美的な側貌、患者の満足を得られた症例であるが、それでもなお残った反省点、より良好な経過および結果を得られたかもしれない治療戦略について考察された。
また中村氏は、大臼歯部にしか咬合接触点のない重篤な開咬および骨格性Ⅲ級の症例を供覧した。こちらも外科的矯正治療を回避し、口蓋に設置するプレートおよびエラスティックを併用し、上顎臼歯の圧下と上顎前歯の挺出、下顎の前方移動を図ったものであり、氏の治療戦略および実際の治療経過に、他の演者から感嘆の声が上がった。
佐野氏は「対顎への負担を軽減するためにアンカースクリューを使うことが多い」と前置きしたあと、スリーインサイザルにて排列・終了する症例などを供覧した。そして症例と関連させながら歯科矯正用アンカースクリューを用いた上顎犬歯移動のメリット、ひとつひとつの問題に対する歯科矯正用アンカースクリュー使用の理由づけ、エラスティック使用のポイントなどが語られた。
牧野氏は、「歯科矯正用アンカースクリューは上顎前歯部に設置することが多い」として上顎前突および過蓋咬合をともなうⅡ級不正咬合の治療戦略について供覧した。アライナーを用いた抜歯治療における上顎前歯圧下やⅡ級仕上げの要点、脱落予防や固定源としての優位性を考えた植立箇所の選択など、それぞれのスタイルやアイデアが共有され、今回最多という280名の聴衆からは、各演者に多くの質問が寄せられた。