2023年11月23日掲載
国内外から著名演者を招聘
エンビスタサミットジャパン2023が開催
講演の前にPatrik Eriksson氏(ノーベルバイオケア社長)、Filippo Impieri氏(エンビスタインターナショナル市場担当取締役)のビデオメッセージがあり、その後、坂野弘太郎氏(エンビスタジャパン株式会社、ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社代表取締役社長)による挨拶が行われた。
Implant Trackのセッション1では、Fredrik Strömberg氏(Nobel Biocare Implant Systemsシニアディレクター)が「Reshaping Implantology」と題し、N1 インプラントシステムやX-ガイドの特徴について詳説した。N1プロトコルで使用するオッセオダイレクターは先端がよりシャープになり、フレキシビリティ、フィッティングが改善され、オッセオシェイパーは、ノイズやバイブレーションが減少したことで患者のメリットも高くなったと述べた。また、N1 には、安定性をさらに高めるためにtrioval conical connection(TCC)が使われ、より深いコネクションになったとし、N1 Base conceptはスリムな形状なので前歯部にも使用できると話した。
セッション2「表面形状でオッセオインテグレーションを超えられるか」では、まず鮎川保則氏(九大大学院)がTiUltraインプラントの先進的表面形状について詳説した。インプラント表面処理の進化について述べた後、インプラント周囲炎を回避する方策として、インプラント体上部の研磨面付与やカラー部へのマイクロスレッドの付与などがなされてきたが、ノーベルバイオケアではプロテクティブレイヤーによって表面の化学的性質と親水性の保持がされているとした。そして、超親水性表面は歯肉にも影響があるのかどうか研究を行ったところ上皮細胞が強く付着したので、ムコインテグレーションにも有効であると述べた。TiUltraインプラントの特徴として、オッセオインテグレーション能力を極力落とさずに軟組織付着特性にも配慮した表面処理や、歯肉の色調暗化のリスクの低減などがあるとした。
次に、松坂賢一氏(東歯大)がXealの表面形状について病理学的考察を含めて詳説した。表面の超親水性は使用する直前に処理するか、水溶液中に保存する必要があるが、Xeal、TiUltra表面のプロテクティブレイヤーは超親水性の状態を使う直前まで維持でき、上皮細胞と線維芽細胞がタンパクレベルで接着し、また、ゴールド色による自然な外観がもたらされるとした。
セッション2の最後に、辰巳順一氏(朝日大)がインプラント周囲疾患の予防の観点からみたムコインテグレーションの重要性について述べた。インプラント周囲疾患の定義を説明した後、インプラント体表面の除染・再生療法に関して、症例を供覧しながら詳説した。また、上部構造への側方荷重が加わるとインプラント‐アバットメントに間隙ができるのかどうかの実験について述べた後、アバットメントに連続で荷重をかけると細菌が入る結果となり、咬合力が強ければ細菌はインターナルヘックス部分まで侵入してしまうと報告された。
午後からのセッション3にはAlessandro Pozzi氏(イタリア開業)が登壇。「最先端デジタルインプラント歯科の実際」と題し、インプラント修復の外科・補綴的側面における低侵襲デジタルアプローチとインプラント審美について講演した。軟組織の退縮が改善された症例などを供覧した後、するべき事項として、精度の高い外科を行うこと、サージカルテンプレートの使用、補綴装置を正しい位置に埋入することを挙げ、治療計画から最終補綴までデジタルプロトコルを遵守すべきだとした。そして、印象採得についてもふれ、インプラント埋入位置がズレないようにシリコーン印象は使用せず石膏を用いるとした。さらに、IOS(口腔内スキャナー)は精度が高い場合もあるが、スクリュー固定型のフルアーチの場合、ミスフィットが起きる可能性が高いとも述べた。
Implant Trackと並列して行われたOrtho Trackでは、Bill Dischinger氏(米国開業)による「Envistaのイノベーション製品を活用した最新の矯正治療法」の講演やDischinger氏、武内 豊氏(千葉県開業)、任 剛一氏(東京都開業)による「ブラケット治療の最前線」と題した講演が行われ、その他、ポスター発表も催された。講演後にはカクテルアワーが行われ、盛会となった。