学会|2024年10月8日掲載

「すべての子どもを地域で受け入れる社会へ―ソーシャルインクルージョンを考える―」をテーマに

日本小児歯科学会 第39回関東地方会大会・総会開催される

日本小児歯科学会 第39回関東地方会大会・総会開催される

 さる10月6日(日)、ルミエール府中(東京都)において、日本小児歯科学会第39回関東地方会大会・総会(小方清和大会長、浜野美幸会長)が、「すべての子どもを地域で受け入れる社会へ―ソーシャルインクルージョンを考える―」をテーマに開催された。

 大会長である小方氏が座長を務め行われた基調講演では、「社会的包摂と小児歯科医療:エビデンスに基づく行動調整の解析と展望」と題して、苅部洋行氏(日歯大教授)が登壇。本大会のテーマである「社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)」の理念を解説し、小児歯科医療において社会的包摂をどのように考えたらよいかを述べた。加えて、小児患者に対する「行動調整」について、2023年に米国小児歯科学会が発表した「エビデンスに基づく非薬物療法による小児歯科患者の行動調整に関する診療ガイドライン」などを紹介しながら、最新の情報を解説した。

 続いて行われた特別講演では、「ソーシャルインクルージョンの取り組み~並行通園を通して~」と題して小児科医である秋山千枝子氏(医師、東京都開業)が登壇。秋山氏は、在宅や専門機関で過ごすゆえに地域との接点をもつのが困難な医療的ケア児(日常的に医療的ケアを必要とする子どもたち)の現状をまず述べ、それを受けて氏が取り組んでいる「並行通園(並行保育)」について紹介した。「並行通園(並行保育)」は、地域の小児科診療所と児童発達支援事業所によるバックアップおよび医療的ケアが可能な人員の帯同により、児童発達支援事業所と並行して定期的に一般の保育所・幼稚園などに通うもの。医療的ケア児にとっては、同年代の子どもたちとの交流の機会となり、また医療的ケア児への地域の理解を深めるうえで有効であると述べた。

 午後には、シンポジウム「東京都多摩地区における小児在宅歯科医療連携のあゆみ」が行われ、冨田 直氏(東京都立小児総合医療センター在宅診療科部長、東京都医療的ケア児支援センター多摩センター長)、小坂美樹氏(東京小児療育病院)、水上美樹氏(日歯大口腔リハビリテーション多摩クリニック)が登壇。それぞれ、「医療的ケア児支援センターができること、すべきこと」「地域で支える小児在宅歯科医療の取り組み」「歯科衛生士の医療的ケア児に対する歯科訪問診療の実態」と題して講演した。

 その他にも、日本小児歯科学会本会講演(中野潤三郎氏、浜野美幸氏、島津貴咲氏、いずれも東京都開業)、研究者の集い(3題)、企業セミナー(2題)、ポスター発表、ランチョンセミナーなどが行われ、大会は成功裏に終了した。

 なお、次回の第40回関東地方会大会・総会(藤岡万里大会長)は、きたる2025年10月5日(日)にタワーホール船堀(東京都)において、開催予定。

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