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2026年3月号掲載

【PR】特別企画 MID-G が目指す口腔健康管理の方向性

※本記事は、「新聞クイント 2026年3月号」より抜粋して掲載。

 歯科におけるメインテナンスのあり方は、時代の流れと疾病構造とともに変化し、現在では従来のような歯科疾患を予防する「口腔ケア」から、口腔の健康が全身の健康管理に資する「口腔健康管理」が求められています。また、生涯にわたって口腔の健康を維持するためには、患者さんのセルフケアと歯科医療従事者のプロフェッショナルケアの両方が不可欠となります。

 本欄では、荒井昌海先生(MID-G 最高顧問、東京都開業)と山本英樹先生(MID-G 次期代表理事、大阪府開業)にご協力いただき、一般社団法人MIDG が推奨する口腔健康管理の方法と方向性について、お話をうかがいました。 (編集部)

口腔健康管理のカギを握るセルフケアの重要性と習慣化

――メインテナンスの重要性が叫ばれるなか、一般社団法人MID-G はなぜ歯磨きによる物理的コント
ロールと洗口液による化学的コントロールを推奨するのかについてお聞かせください。

荒井:生涯にわたって口腔の健康を維持するには、歯科医院での定期的なメインテナンス(プロフェッショナルケア)がとても大切であることはいうまでもありません。
 最近では、インターネットやSNS の普及によって国民の歯や口に関する情報収集がしやすくなり、興味・関心が高くなってきているので、以前に比べると患者さんへのセルフケアに関する提案はしやすくなってきたとは思いますが、国民全体の意識としてはまだまだ課題があると思っています。
 プラークはバイオフィルムに守られていますので、大前提として歯磨きによって物理的にバイオフィルムを除去する必要があります(図1)。

図1 口腔健康管理の定義(日本歯科医学会の資料より編集部作成)。

 もちろん、歯や口に関する意識が高い方は自分自身で積極的に情報収集したり、歯科医院を定期的に受診されたりするとは思いますが、ごく一部にすぎません。その理由の1 つとして、たとえば1日2回以上磨く人もいれば、ゴシゴシ磨く人や細かくていねいに磨く人、フロスや歯間ブラシ、洗口液を使用する人など、セルフケアのしかたや考え方はさまざまです。多くの国民は、正しいセルフケアの方法だけでなく自分に合ったセルフケアグッズの選び方に関しても理解されていないのが現状です。そのような状況下では、セルフケアを習慣化することは難しいと思いますので、やはり国民や患者さんがセルフケアを少しでも意識し、習慣化していただくための健康教育がとても大切だと考えています。

山本:荒井先生が述べられたように、毎日のセルフケアが習慣化できていなければ、私たちが提供する歯科治療やメインテナンスの効果は長続きしません。セルフケアに関しては、歯磨きだけでは不十分なことが多いです。歯ブラシによるプラーク除去率は約60%といわれていて、特に歯と歯の間、歯周ポケット、補綴装置やブリッジ周囲は残りやすいので、フロスや歯間ブラシを使用することが求められます。
 また、当院では洗口液を使用していて、スタッフはもとより患者さんからも好評を得ています。あくまでも洗口液の位置づけは「歯磨きの代わり」ではなく「補助」であり、そのメリットとして殺菌や抗炎症などの成分による効果によって原因菌を殺菌し、細菌の増殖を抑えたり、プラークの付着を防いだり、口臭予防などが期待できます。忙しいビジネスパーソンや手指が不自由な高齢者で歯磨きができない場合でも、洗口液を使用していただくことでリスクを軽減することができます。そして、セルフケアの質を高めていただくことで私たちのプロフェッショナルケアも効果が高まります。
歯磨きによって物理的に除去し、必要に応じて洗口液を使用することで化学的に長時間殺菌する役割がありますので、われわれMID-G は歯磨きと洗口液の組み合わせを推奨しています(図2)。

セルフケアを習慣化させるために不可欠なオーダーメイドケアの提案

――荒井先生からセルフケアの習慣化の難しさが課題として挙げられました。歯科界全体あるいはMID-Gとして、その課題を解決するためにできることは何でしょうか。

山本:歯科界全体の対応として、歯科医師会や歯科関連企業それぞれが、国民向けに歯や口の健康が全身の健康につながるといった情報発信は、これからも継続していくことが求められると思います。
 われわれMID-G としては、歯磨きと洗口液の組み合わせを推奨していますので、そのアプローチをとおして口腔ケアに対する考えや、口腔と全身の健康の関係についてMID-G 会員のクリニックを受診される患者さんに情報提供したいと思っています。また会員がMID-G のコースやマニュアルを活用していただき、患者さんへの保健指導や健康教育の充実を図ることでセルフケアの習慣化を目指していきたいと考えています。

荒井:正しいセルフケアの方法や自分に合ったセルフケア製品は、われわれ歯科医師や歯科衛生士が患者さんの口腔状態に応じて処方することが、習慣化のためには求められます。歯ブラシ1つとっても毛先が柔らかいものから形状に至るまでさまざまです。もちろん、プラークを効率的に除去する素材にこだわることは前提として大切ですが、習慣化のためには使用感や見た目もモチベーションを維持する重要な要素と考えています。患者さんとのコミュニケーションツールの1つとして、歯や口に関心をもっていただけるようなプロフェッショナルとしてのアプローチに努めたいと考えています。
 MID-Gでは、これまで医院経営に役立つアプリケーションを提供・販売してきました。つねに新しいことに取り組むことを考えている私は、現在生成AIに非常に興味・関心があり、MID-Gの運営にご支援いただいている賛助会員の企業様にもご協力いただくことで、MID-Gによる「患者さん向け専用アプリ」を開発することができるかもしれないと今回の対談のなかで思いつきました(笑)。
 たとえば、患者さんが初診の問診票で回答するような既往歴や口腔内の状態をAI に学習させ、それに応じたセルフケア製品をナビゲーションするようなアプリで、患者さんの回答結果に応じて、私たち歯科医師や歯科衛生士が患者さんの口腔状態に適したセルフケア製品を提案するようなイメージです。われわれMID-G会員のクリニックの患者さんの問診結果をデータ化し、歯ブラシや歯磨剤、洗口液など関連するデータを紐づけることで、フィードバックできるような仕組みができれば、患者さん、会員の歯科医院、企業の三者Win-Win-Winの関係も可能になるでしょう。山本先生の次期執行部でMID-Gのコンセプトである「学術・経営・教育の三本柱」がアプリケーションとして具現化できれば、歯科界で注目を集めることになるかもしれませんね。それこそ、デジタル時代だからこそわれわれが目指す新しい口腔健康管理の展開が期待できるのではないでしょうか。

2025年度MID-G総会、豪華講師陣!「革故鼎新」をテーマにWeb生配信

――きたる3月22日(日)、MID-Gの1年の集大成ともいえる2025年度MID-G総会がWebライブ配信(無料)にて開催されます。本総会の近年の平均視聴者数は約13,000名以上となり、MID-G会員を含む多くの歯科医療関係者が多数参加されています。本年度の開催概要や見どころについてご紹介ください。

荒井:本年度の総会は「革かくこていしん故鼎新」(古い習慣や制度などを新しいものに改正すること)をテーマに、3部構成にて開催を予定しています(図3)。「先人の知恵と経験を礎にしながら、新たな価値創造へと踏み出す」ための学びと対話の場として、栗林研治代表理事を中心に本会理事が一丸となって、より充実した内容を準備していますので、ご期待いただければと思います。

図3 2025年度MID-G 総会の概要。

 第一部では、玉塚元一氏(株式会社ロッテホールディングス代表取締役社長)をお迎えし、経営改革や組織再編を数多く成功へと導いてこられたご経験をもとに、ご講演と理事との対談を予定しております。激動の時代における「革新の起点」について、幅広い視点でお話しいただく予定です。
 また、相川佳之氏(SBC メディカルグループホールディングスCEO)をお招きし、日本最大級の医療グループを率いるトップとしての視点から、医療の未来像や歯科領域との連携可能性についてご講演いただき、本会理事らとともに議論を深めたいと考えています。
 第二部では、小林隆太郎先生(日本歯科医学会会長)にご登壇いただき、「学術と臨床の融合〜日本歯科医学会の使命と展望〜」をテーマに講演が行われます。その後、本会理事らとの対談を予定しています。
 小林先生には、学会としての最新の取り組みや歯科界が直面する課題、そして未来に向けた方向性について、学会長の視座からお示しいただく、たいへん貴重な機会となると期待しています。

――歯科界以外のトップランナーの経営者や歯科学術団体のトップの講演、そして歯科界で活躍中の若手臨床家の先生方による講演など、とても豪華なプログラムですね。

山本:第三部は、次代を切り拓く若手臨床家の最前線と題するテーマのもと、浅賀勝寛先生(埼玉県開業)、川名部 大先生(東京都開業)、そして本会理事の蔦川路子先生の3名にご登壇いただきます。浅賀先生にはインプラント、川名部先生はペリオ、蔦川先生(香川県勤務)は矯正歯科について、それぞれの専門分野から新しい知見や臨床例を共有・供覧していただきます。また、講演後にはディスカッションも予定していて、今回のテーマの「革故鼎新」が体現できるセッションとなる予定です。経験の浅い先生からベテランの先生方まで幅広く学べる学術講演となりますので、ぜひともご参加いただければと思います。
―口腔健康管理をより普及・充実させるためには、MID-Gのコンセプトである「学術・経営・教育の
三本柱」が必要であり、新しいことに取り組む姿勢や考え方の方向性が示されたのではないでしょうか。本日はありがとうございました。