同窓会|2025年5月14日掲載

「最新! 予防歯科臨床 ~進化する予防⻭科臨床にキャッチアップ!~」をテーマに

大阪大学歯学部同窓会、第587回臨床談話会を開催

大阪大学歯学部同窓会、第587回臨床談話会を開催

 さる5月11日(日)、大阪大学歯学部同窓会(平野裕之会長)による第587回臨床談話会が、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)およびWeb配信にて開催された。今回は講師に久保庭雅恵氏(大阪大学大学院教授)を迎え、「最新! 予防歯科臨床 ~進化する予防⻭科臨床にキャッチアップ!~」のテーマで講演が行われた。

 昨今、さまざま存在する口腔疾患のリスクゆえに、個々の患者に最適な予防歯科プログラムを提供することが求められている。しかし限られた診療時間内に、口腔疾患のリスクや変化を見抜き、必要な処置を高いクオリティで行うことは容易ではない。そこで久保庭氏より、質の高い予防処置を提供するために必要な知識と技術について講演がなされた。

 久保庭氏はまず、セルフケアとプロフェッショナルケアの役割について解説。う蝕と歯周病は口腔内細菌によって引き起こされ、その細菌の塊であるプラークは善玉菌が主体であれば落としやすいが、病原菌が増加すると除去しにくいプラークに変化すると説明。セルフケアではブラッシングや食事の適正化をつうじてバイオフィルムが増加しない生活習慣を整えること、プロフェッショナルケアではセルフケアで除去しきれなかった病原性の高いバイオフィルムの除去とそれぞれの役割を述べ、口腔ケアの重要性を説いた。

 その後は歯周病およびう蝕の病因論にふれ、歯周病やう蝕のリスクは環境や宿主因子などのさまざまな条件によって異なることを解説。「たとえば高齢者と若い人では唾液の分泌量に差があるため、同じことをしても同じ結果が出るわけではない。そのため、高齢者では長くアポイントの時間をとるなど、個々の患者に応じた工夫を施す必要がある」と述べた。

 それらをふまえて予防歯科臨床では、適切な情報収集をするために正確な診査手技や診断に必要な知識を身につけ、その情報に基づいたリスクを分析すること。また、それを具体的で平易に伝え、患者の行動変容につなげるための口腔衛生指導力を身につけることが重要とした。

 講演後には質疑応答の時間が設けられ、「既往歴が分からない患者への対応」などについて複数の質問が寄せられた。

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