学会|2025年10月21日掲載
「TRILOGY~伝統・革新・融合3つの叡智がもたらすもの~」をメインテーマに
日本歯科薬物療法学会、日本歯科東洋医学会、日本口腔感染症学会による三学会合同学術大会が開催
さる10月18日(土)、19日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部(東京都)において、日本歯科薬物療法学会(松野智宣大会長、岩渕博史理事長)、日本歯科東洋医学会(山口孝二郎大会長、会長兼任)、日本口腔感染症学会(松野智宣大会長、岸本裕充理事長)の三学会合同学術大会が、「TRILOGY~伝統・革新・融合3つの叡智がもたらすもの」をメインテーマに据えて開催された。
1日目の特別講演では、松野氏(日本歯科大学附属病院口腔外科教授)による座長のもと、大曲貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター長・AMR臨床リファレンスセンター長)が「日本における薬剤耐性(AMR)の現状」という題で講演。薬剤耐性菌に関連して世界的に多くの人が亡くなっており、日本においては薬剤耐性大腸菌が特に問題となっている。日本では、この問題に対応するためにAMR対策アクションプランが2016年に策定され、さらにコロナ禍を経て2023年に改訂された。氏は、そのような現状やアクションプランで掲げる成果目標についてふれ、抗菌薬の適正使用における課題や、今後のAMR対策における方向性などを解説。そのうえで、人や動物の健康、およびそれを取り巻く環境を包括的に捉え、関連する人獣共通感染症などの分野横断的な課題に対し、関係者が連携して取り組む「ワンヘルスアプローチ」の重要性を説いた。
2日目の特別企画では、「厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科領域編について」というテーマで、松野氏、太田耕司氏 (広島大学歯学部公衆口腔保健学講座教授)、岸本氏(兵庫医科大学歯科口腔外科学講座主任教授)、金子明寛氏(池上総合病院歯科口腔外科・口腔感染センター長)、田頭保彰氏(東京科学大学大学院医歯学総合研究科統合臨床感染症学分野 講師)の5名が登壇した。厚生労働省は、これまでに『抗微生物薬適正使用の手引き』を第三版まで出版してきた。しかし歯科では、使用量削減目標の対象となっている第3世代セファロスポリン系抗菌薬の使用率が高いことなどを含めて、不適切な薬剤選択や不必要な処方などがいまだに多い。そこで年内公表予定の『抗微生物薬適正使用の手引き 第四版』では、歯科編が追加される。本特別企画ではその作成に携わっている演者が、それぞれ担当している項目における概要について解説した。
その他、教育講演、三学会合同シンポジウム、歯科衛生士特別セッション、歯科東洋医学入門セミナーをはじめとした多くのプログラムが組まれた。メインテーマにもあるように三学会の叡智が結集し、参加者にとって実りの多い学会となった。