学会|2025年11月5日掲載

「語り合う 歯周基本治療の実践 ひとをみるヘルスケア診療」をメインテーマに

(一社)日本ヘルスケア歯科学会、ヘルスケアミーティング2025を開催

(一社)日本ヘルスケア歯科学会、ヘルスケアミーティング2025を開催

 さる11月2日(日)、3日(月)の両日、一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会(高橋 啓代表)によるヘルスケアミーティング2025が、一橋大学一橋講堂(東京都)およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 冒頭で高橋氏(愛媛県開業)は、本学会の創設にもかかわった藤木省三氏(兵庫県開業)の逝去にふれ、「藤木先生は25年間にわたりヘルスケアの歴史とともに歩まれた方」とその功績を偲んだ。また、「歯周治療こそがヘルスケア診療の原点」という藤木氏の教えを引き継ぎ、本年のテーマも歯周治療を中心に展開されることを紹介。「恩を感じたなら、それを次の世代に伝えていくことが恩返し」と語り、「2日間の学びを楽しもう」と呼びかけた。

 1日目は、基調講演「歯周基本治療の実践と広がり ―HCM2024から一年、ひとをみる診療へ」の題で、初めに千草隆治氏(福岡県開業)が登壇。氏は、昨年の内容を振り返りつつ、歯周治療の成果には10年、20年という長い時間が必要であることを強調。「歯周治療の成功には“技術”だけでなく、患者を理解し、信頼関係を築く“ひとをみる視点”が欠かせない」と述べ、臨床現場での具体的なエピソードを交えながら、人とのかかり方の重要性を語った。

 続いて、成長途上の以下の4医院の改革やチームづくりの事例が紹介された。

「ひとをみて ひとに寄り添った診療体制を目指して」飯田太一氏(福岡県開業)
「丸山歯科での歯周治療への取り組みの軌跡 ―患者さんとの関わりから学べたこと―」丸山修平氏(埼玉県開業)
「人と人をつなぐ歯周治療の実践」中本知之氏(兵庫県開業)
「歯周基本治療を通じて『ひとをみる』」古市貴暢氏(香川県開業)

 2日目の午前は、サブテーマ「あっちもこっちもヘルスケア」のもと、3コマの講演が同時進行で行われた。参加者は関心のあるテーマを自由に選び聴講できる形式で、それぞれの現場での実践や工夫に耳を傾けた。

 午後からは、髙橋信博氏(東北大学大学院歯学研究科特任教授〔研究〕、東北大学総長特別補佐〔グローバル戦略室〕、東北大学名誉教授)が「齲蝕と歯周病のSymbiosisとDysbiosisを知る+根面う蝕について」の題で講演。氏は、う蝕と歯周病はいずれもバイオフィルム由来の疾患だが、発生部位や環境条件の違いによって構成細菌や代謝機能が異なると紹介した。また、SymbiosisからDysbiosisへの移行は、細菌種の変化だけでなく代謝機能の変化もかかわる可能性があると述べた。糖やタンパク質代謝にともなう代謝産物が疾患進行に影響することを示唆し、菌そのものよりも環境の変化に注目すべきと提起。微生物生態学の視点から疾患理解を見直す機会となった。

 そのほかにも、ディスカッションや展示、ポスター発表なども行われ、盛会となった。

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