学会|2025年11月25日掲載
「唾液と検査・栄養・健康、そして未来!」をテーマに
第4回日本唾液ケア科学会学術集会が開催
さる11月23日(日)、横浜シンポジア(神奈川県)において、第4回日本唾液ケア科学会学術集会(槻木恵一大会長、理事長)が、「唾液と検査・栄養・健康、そして未来!」をテーマに開催され、全国から歯科医師、歯科衛生士、医師、看護師ら220名以上が参集した。
本会は、2021年に日本唾液ケア研究会として発足し、唾液の科学的知見の集約および健康効果の啓発を目的に活動を行ってきた団体であり、2025年度より学会化にともない名称が「日本唾液ケア科学会」に変更された。
開会挨拶のなかで、槻木大会長(神奈川歯科大学)は学会化の目的にふれ、日本歯科医学会の認定分科会への加入を目指すこと、また将来目標として唾液検査や口腔乾燥症の保険収載の実現に向けて活動を強化していくことを述べた。
午前の教育講演では、土屋和子氏(歯科衛生士、株式会社スマイル・ケア代表)による「唾液分泌促進のために伝えたい“あれこれ”」が行われた。土屋氏は、まず唾液の基本知識を概説したうえで、唾液が減少する主な原因およびそのメカニズムを解説した。また、唾液の分泌促進に有効で、かつチェアサイドで簡単に指導できる呼吸法やマッサージ法などを実演しながら紹介した。
続く特別講演では、吉田竜介氏(岡山大学)による「美味しさと唾液~唾液味覚相互作用と新規唾液分泌調節機構~」が行われた。吉田氏は、味覚が唾液に与える影響について最新の基礎研究を供覧しつつ、酸味、塩味、うま味の3つが唾液分泌に影響を及ぼすことを解説した。さらに、うま味が唾液緩衝能と関連すること、酸味と塩味に比べて唾液分泌作用が持続することを挙げ、臨床での活用の可能性を示唆した。
午後のシンポジウム「口腔乾燥の患者さんに何を提供できますか?」では、佐藤しづ子氏(東北大学)、山本典子氏(歯科衛生士、東京都勤務)、前田さおり氏(歯科衛生士、国立循環器病研究センター)が登壇し、うま味刺激を活用した口腔乾燥治療法や患者にあわせた食事・栄養指導、唾液腺マッサージの効果などについて知見が共有された。
その他、会員指名発表、企業展示紹介、ランチョンセミナー、ポスター発表など多彩なプログラムが組まれ、盛会のうちに終了した。