2023年1月号掲載
私のはじめての1本[Scene5] 手術前夜はよく眠れず、埋入手術が終わる頃には冷や汗で下着がびっしょり濡れていた
70年代のこと
1970年に神奈川歯科大学を卒業し、保存学教室に入局した。薄給と技術習得のため週3回、仕事終了後に夜間開業の先生の所で18〜22時までアルバイトをしていた。卒後2年目に、長崎県の離島・対馬で開業していた父親が急病で長期療養が必要となり、その後1年間離島での診療を余儀なくされた。小、中学校まで過ごしたその町には、町立病院の歯科室と私の診療所2軒だけだったので患者が溢れ、悪戦苦闘の毎日だった。当時は総義歯患者が多...