萬人一語

社会保障改革の流れを支える歯科として

2021年4月号掲載

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2021年4月号掲載

社会保障改革の流れを支える歯科として

 日本歯科医師会は歯科の代表として現場の意見を厚労省に届けてくれる立場である。私は以前、社会保障審議会医療保険部会に随行員として参加した。医師の場合、主な診療科で33科あり、日本医師会・日本慢性期医療協会の2名のみが代表。歯科医師は日本歯科医師会として1つの科から1名参画している。このチャンスをどう活かすのか。

 審議会では、前回の改定によって、厚労省から示された課題を現場でどれだけ実施できたかが重要になる。その結果はアンケートによる調査後にまとめられ、次期改定までの会議に提出される。

 現在の医療政策の大きな流れは、病院完結型医療から地域完結型医療への移行、歯科においてはかかりつけ歯科医機能の強化である。歯科には、歯科訪問診療の普及と、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)施設基準のクリアが求められている。この施設基準は、当初は複数名の歯科医師配置があったが、今は歯科医師の他に歯科衛生士にも緩和され、訪問診療においても在宅療養支援歯科診療所(歯援診)への紹介は年間5件に緩和されている。すなわち、歯科衛生士が勤務する歯科医院においては、訪問診療を自院で行わなくても取得することが可能である。

 それにもかかわらず取得が進んでいない現状は、厚労省や保険者にはどう映るだろうか。コロナ禍で日本の財政はさらにひっ迫している。歯科医院の多くが施設基準を取得し、社会保障改革の流れを支えてこそ、政府も歯科を支援してくれるのではないだろうか。