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  • <font color='green'><b>平成25年度 第1回 日本大学歯学部歯科インプラント科公開セミナー開催</b></font>

2013年5月20日掲載

Strub教授が対話形式の魅力ある講演を展開

<font color='green'><b>平成25年度 第1回 日本大学歯学部歯科インプラント科公開セミナー開催</b></font>

<font color='green'><b>平成25年度 第1回 日本大学歯学部歯科インプラント科公開セミナー開催</b></font>
 さる5月20日(月)、日本大学歯学部(東京都)において、平成25年度 第1回 日本大学歯学部歯科インプラント科公開セミナー「Interactive Treatment Planning―審美症例における最新の治療計画立案のために―」が、Joerg Rudolf Strub氏(ドイツ・フライブルグ大教授)を講師に迎え開催された。  本セミナーでStrub氏が提示したのは「全顎的な治療を必要とする患者の審美性と機能性を回復するために、いかなる治療計画を立案すべきか」というテーマだが、まず特筆すべきはその講義スタイルである。最先端の情報や、氏が立案する治療計画の「正解」を一方的にレクチャーするのではなく、一つのモデルケースをもとに、包括的な歯科治療を行う際の重要な考慮事項を聴講者とともに考え、議論するという形式がとられた。これは、今回のセミナーが大学という場で行われ、多くの学生や若い歯科医師が参加したことを踏まえてのスタイルであると同時に、氏がフライブルグ大学で日常行っている授業において、インタラクティブな内容をいかに重視しているかがうかがえるものであった。  モデルケースとして提示されたのは、上下顎臼歯部の欠損、ブラキシズムによる歯の咬耗、根管治療後に問題が生じている残存歯、不適合な補綴物、コンタクトの不良、根尖病変などを有し、治療費にも制約のある患者である。氏は、患者の年齢・職業・家族構成や既往症、審美的・機能的な要望などを把握したうえで、治療計画立案にあたり考察すべき事項として以下を提示した。 ・抜歯すべき歯 ・テンポラリーレストレーションのデザイン(アバットメントの選択、咬合高径の設定、ブラキシズムを考慮したマテリアルの選択、審美性の改善を考慮した設計など) ・根管処置が施され、ポストコアにて支台築造されている歯の再治療 ・歯周治療、インプラント治療、リッジオグメンテーションなど外科治療の必要性 ・最終補綴物のデザイン(ブラキシズムを考慮したマテリアル選択、インプラント上部構造の固定方法の選択など) ・ブラキシズムを考慮したナイトガードの使用  治療計画におけるこうした綿密なチェックポイントの重要性を再確認したうえで、聴講者たちは事前に配られた患者資料とスタディモデルを手に取りながら、複数のグループに別れて検討を行った。その後のディスカッションを経て紹介された実際の治療は、エビデンスに裏打ちされた精緻なものであり、Strub氏が経験則からではなく、つねにサイエンティフィックな視点をもって治療を行っていること、その重要性を後進に伝えて続けていることがうかがえた。  なお今回は、学生や若い歯科医師だけでなく、臨床経験豊富な歯科医師や各歯科分野における一線級の研究者も参席しており、対話形式の本セミナーをさらに盛り上げた。Strub氏も、ときおり「歯内療法の専門家が会場にいたら、この件についてご意見をください」と述べて議論をより深く掘り下げるなど、時間が進むごとに会場の一体感が増していく展開となった。  国によって医療制度などの違いはあれど、歯科医療において重要視すべき点は変わらない。また、聴講者が魅力を感じ、集中できる講義内容に国境はない。そうしたことが強く感じられるセミナーとなった。

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