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2015年7月17日

第30回日本歯科心身医学会設立30周年記念総会・学術大会開催

「中枢から見た歯科医学」をテーマに

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 さる7月17日(金)から19日(日)の3日間、東京医科歯科大学M&Dタワー鈴木章夫記念講堂(東京都)において、第30回日本歯科心身医学会設立30周年記念総会・学術大会(豊福 明大会長、小池一喜理事長)が「中枢から見た歯科医学」をテーマに開催された。

 18日(土)の教育講演1では、「クオリアとしての自覚症状から見えるもの――歯科心身症再考」と題して中村広一氏(元・国立精神神経センター武蔵病院歯科医長)が講演。歯科心身症の原因は、本来なら消えるべき非陳述(=ことばにならない)記憶がしつこく残り、その記憶による繰り返し刺激が、好ましくない情動・感情により強化され、歯科心身症の症状を生成するとする仮説について述べた。

 教育講演2では、「歯科と認知神経科学」と題して泰羅雅登氏(医歯大大学院認知神経生物学分野)が講演。泰羅氏は東京医科歯科大学歯学部を卒業後、日本大学医学部で脳の研究に長年携わったという歯科出身者では異色の経歴の持ち主。飲んでも迷わずに家にたどり着けるのはなぜか?といった日常の疑問から、カーナビに相当する道順を記憶する脳細胞(ナビゲーションニューロン)を発見するに至った経緯などを話した。

 19日(日)の特別企画1「インプラント・審美領域の不定愁訴への対応」では、山崎長郎氏(東京都開業)が「咬合に関する難症例とは?」と題して講演。咬合などの違和感を訴え続ける補綴・修復治療をした患者に咬合調整などを200回以上行っている例や、プロビジョナルレストレーションの調整でうまくいかず、ナイトガードをいれて様子をみてもうまくいかず、アンテリアガイダンスで離開させるのをあきらめてグループファンクションで離開する咬合を与えたところ、患者さんの違和感がなくなった例などを示した。

 「シンポジウム 本当の難症例とは何か――達人の臭覚と返し技」では、小宮山彌太郎氏(東京都開業)、中村社綱氏(熊本県開業)が登壇。小宮山氏は、「医療には優しさが必要だが、医学的に容認できないことに対しては、鬼の心で接することが必要」と述べた。中村氏は、「治療後に痛み・異物感・知覚異常がほんとうに器質的にあるのか? 不定愁訴なのかを見分けるためには、患者の小さな変化を見逃さないことが重要」と述べた。