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2016年6月23日

日歯、定例会見を開催

堀会長、骨太の方針2016に関する日歯の見解を示す

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 さる6月23日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による定例記者会見が開催された。堀 憲郎会長は、政府がさる6月2日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる骨太の方針)の歯科にかかわる問題について触れ、9項目にわたり日歯の見解を明らかにした。以下にその内容を示す。

(1)国民皆保険・皆年金制度の維持:世界に冠たる国民皆保険・皆年金を維持し、次世代に引き渡すことを目指す。わが国の社会保障に関する国是として今後とも堅持していく。

(2)消費税の引き上げ再延期:引き上げを前提に推進してきた社会保障の安定・充実に関する多くの施策・計画に破綻をきたすことがないように、消費税に代わる財源の確保が必要。

(3)地域医療構想:地域の実態に即した医療・介護提供体制の構築は、地域完結型医療を目指す施策と理解している。一方で、過度な格差是正を進めることで地域医療の推進を阻害しないように慎重な対応を求めたい。

(4)地域医療介護総合確保基金:病床の機能分化・連携の推進が継続されているが、外来診療が中心の歯科にとっては必ずしも活用が十分ではないと認識している。さらに、近年の医療費抑制政策の影響もあり地域の歯科医療は厳しくなると危惧されることから、地域包括ケアシステムにおいて歯科医療のかかわりが発揮できるように、たとえば在宅歯科医療の推進や人材確保というところでも基金が十分活用されるように求めていく。

(5)医療保険と介護保険:給付調整や請求など、とくに歯科ではどの部分が医療保険や介護保険でカバーされているのか不明確なところがある。不合理で煩雑な部分も存在するため、つぎの同時改定の課題である医療と介護の"見える化"の中で、患者本位の円滑な対応ができるよう求めていきたい。

(6)健診データ等の活用:継続的な歯科医療が糖尿病や肺炎など、医科の疾患の重症化予防や認知症の発症予防にもつながるということがデータで示されているが、健診などのデータ活用が遅れている。整備を求めるとともに、国民のライフステージにおける各健診データを一元管理できるような仕組みが、今後の検討課題ではないかと考える。

(7)審査・支払機関のあり方の検討:現場の医療提供は多種多様であって、あくまで患者本位でなければならないと考えている。審査の判断基準で明らかに不合理な格差の是正は当然あってしかるべきである。単純に効率化だけを求めて医療の多様性を否定して、臨床医療が窮屈になることがないように慎重な議論をお願いしていく。

(8)高齢者のフレイル対策:口腔機能にかかわるフレイル対策が重要であることは、関係方面の共通認識となっている。学会とも連携してエビデンスを整理しつつ、運動として「オーラル・フレイル」を推進し、歯科とのかかわりへ理解を求めていきたい。

(9)医療従事者の需給の見通し:歯科医師の資質向上等に関する検討会の議論や、今後公表予定の報告書について、とくに新規参入の歯科医師の資質が担保されるよう、引き続き関係省庁も含めて働きかけをしていきたい。