2019年2月24日掲載

歯科医師・歯科技工士を中心に約110名が秋田に参集

秋田一水会オープンセミナー「collaborations」開催

秋田一水会オープンセミナー「collaborations」開催
 さる2月24日(日)、秋田キャッスルホテル(秋田県)において、秋田県のスタディグループである一水会(柏木 了会長)によるオープンセミナー「collaborations」が開催され、約110名が参集した。一水会は歯科医師と歯科技工士がともに学ぶスタディグループであり、本会でも「collaborations」のタイトルどおり、すべての演題が歯科医師と歯科技工士のコンビ(1組はトリオ)での登壇となった。

 最初に登壇したのは、「Case with improved aesthetic gap」と題して講演を行った山田優貴氏(歯科医師・都南歯科医院)と吉村和久氏(歯科技工士・gratDEX)。歯科治療に対してトラウマをもっていた患者に対して行ったフルマウスの治療をとおして、歯科医療の難しさと喜びを解説した。次に登壇したのは「義歯作製におけるチェアサイド&ラボサイドコミュニケーションのための取り組み」と題して講演を行った山下貴史氏(歯科医師・山下歯科医院)と佐々木順也氏(歯科技工士・歯科技工研究所サブラトリー)。山下氏と佐々木氏は、義歯治療を行うなかで、情報を得やすい症例もあれば、さまざまな条件から情報を得にくい症例もあるとし、そのような情報を得にくい症例のなかでどのように歯科医師と歯科技工士がコミュニケーションを図りながら治療を行っているのかを具体的なケースを提示して解説した。3組目に登壇したのは「The Oral Rehabilitation」と題して講演を行った斎藤隆輔氏(歯科医師・さいとうデンタルクリニック)と菅野雅人氏(歯科技工士・miyabi)。斎藤氏と菅野氏は、平均値咬合器で対応できた症例と半調節性咬合器で対応せざるを得なかった症例をそれぞれ挙げ、どのような点に配慮して補綴治療を進めていったのかを歯科医師・歯科技工士それぞれの視点から解説した。午前中の最後に登壇したのは「Full mouth rehabilitation with digital team works」と題して講演を行った柏木 了氏(歯科医師・柏木歯科)と佐藤宏敏氏(歯科技工士・Luminous Dental Labo)。柏木氏と佐藤氏は、デジタル化が進む歯科界の中で、歯科技工士の匠の技であるアナログでのワックスアップをデジタルに反映させる、つまりデジタルとアナログを融合させて治療した症例を紹介した。

 午後に入り、最初に登壇したのは「秋田の歯科技工士・歯科医師連携の一例」と題して講演を行った山岡 薫氏(歯科医師・CLOVER DENTAL)と佐々木祐幸氏(歯科技工士・KEY DENTAL LABORATORY)。山岡氏と佐々木氏は審美修復治療を行うために、どのような準備が必要なのかについて、みずからが行ってきた試行錯誤の内容を前歯部単冠症例とともに紹介していった。次に登壇したのは「関錦二郎商店と歩んだ10年の軌跡」と題して講演を行った佐々木俊哉氏(歯科医師・北インター歯科クリニック)と関 錦二郎氏(歯科技工士・関錦二郎商店)。佐々木氏と関氏は、2人が出会ってからどのように考え、自分たちの臨床が変化してきたのかについて、時系列で症例を紹介しながら語っていった。午後の3組目に登壇したのは「最新が最良か」と題して講演を行った相場隆広氏(歯科医師・あいば歯科医院)、坂本 裕氏(歯科技工士・あいば歯科医院)、井汲 建氏(歯科技工士・シケン)。相場氏、坂本氏、井汲氏の3名は、続々と新たな考えや材料が生まれてくる現在、最新のものは本当に最良なのかというキーワードのもと、インプラントやインプラント上部構造を中心にそれぞれの立場から意見を述べた。午後の4組目に登壇したのは「New Generation of Esthetic Dentistry」と題して講演を行った佐藤洋司氏(歯科医師・さとうデンタルクリニック)と一柳通宣氏(歯科技工士・デンテックインターナショナル)。佐藤氏と一柳氏は、インプラント上部構造におけるモノリシックジルコニアの上部構造に焦点をあて、そのシステマチックな製作コンセプトを紹介した。最後に登壇したのは「The Recovery」と題して講演を行った竹田浩人氏(歯科医師・よしき歯科・TAKEDAインプラントクリニック)と志田和浩氏(歯科技工士・PREF)。竹田氏と志田氏は、インプラント治療における埋入前の診査診断とプランニングの重要性を説くとともに、経時的に変化する口腔内においてリカバリーについて考慮しておく重要性についても解説した。

 もともと予定していた参加人数を大きく上回る参加希望があったこと、また参加者の比率が歯科医師と歯科技工士でほぼ半々だったこと、さらに北海道や関西地区からの参加者も居たということからも、広い範囲の歯科関係者からの一水会への期待の高さを物語っているように感じる。実際の講演会でも、一組あたり25分というもち時間でありながら、非常に内容の濃いプレゼンテーションが行われ、会場は熱気に包まれていた。今後も秋田の地から、どのような発信をしてくれるのかを期待したい。

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