Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年5月18日

ウォーターフロリデーションファンド総会記念講演会開催

「効果的むし歯予防の基礎の基礎“水道水フロリデーション”」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる5月18日(土)、学校法人鈴木学園・専門学校中央医療健康大学校(静岡県)において、「認定NPO法人ウォーターフロリデーションファンド(※)総会記念講演会」が開催された。テーマは「効果的むし歯予防の基礎の基礎“水道水フロリデーション”」で、同校の生徒を中心に約80名が参集した。

 開会の挨拶を行ったのは、ファンド理事長の浪越建男氏(香川県開業)。「水道水フロリデーションについて学生のころから正しい知識を得ることで、一生活かせる知識をもってもらいたい」と、会場の歯科衛生士の卵たちに述べた。

 続いて、同学園理事長の鈴木啓之氏の挨拶のあと、中村宗達氏(元静岡県職員)の座長のもと、青山知代氏(元三島市行政歯科衛生士)と野村佳子氏(同校歯科衛生学科専任教員)が登壇。「私にとってのフロリデーション」と題して、行政の歯科や歯科衛生士教育におけるフッ化物応用の現状を語った。

 次に、近藤明徳氏(兵庫県開業)の座長のもと、荒川浩久氏(神歯大特任教授)が「フロリデーション入門」の演題で講演。むし歯予防におけるフッ化物のエビデンスレベルや局所応用と全身応用の違いにはじまり、「歯科口腔保健の推進に関する法律」でのフッ化物の位置づけ、世界における水道水フロリデーションの実施状況、現実に自治体で導入する際の推定コストなど、演題どおりフロリデーションのことが一手に理解できる内容であった。なかでも、「いま普及している歯磨剤や洗口などの局所応用自体、もともとは全身応用――つまり水道水フロリデーションの有効性が確認されてから始まったものだ」という話には、会場から驚きの声が上がっていた。

 その後、伊藤道一郎氏(東京都開業)の座長のもと、「むし歯予防の国策」と題して参議院議員にして医師の熊野正士氏が登壇。費用対効果にすぐれたポピュレーションアプローチである水道水フロリデーションを推進することを、新たに設けられたワーキンググループで検討中であると述べた。

 最後には、児童虐待問題に取り組んでいる川越元久氏(神奈川県開業)が発表。歯磨剤を買ってもらえない、あるいは歯科に通院させてもらえないようなネグレクトを受けている子にも、水道水フロリデーションなら助けになれると語った。

 講演後の質疑応答では、熱心な生徒たちから質問が多数寄せられた。ふだんの授業では聞けないフッ化物の意外な一面に、興味を新たにした様子がうかがえた。
 
※認定NPO法人ウォーターフロリデーションファンド:水道水に含まれるフッ化物濃度を調整するむし歯予防法「水道水フロリデーション」の実施を推進、または実施しようとしている地域を応援する全国組織。水道水フロリデーションは、安価で平等性のある公衆衛生的な予防法として、歯科医療格差の解消の一助となると期待されている。