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2019年6月6日

第30回日本老年歯科医学会学術大会開催

「食べる力を支える老年歯科医学」をテーマに

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 さる6月6日(木)から8日(土)の3日間、仙台国際センター(宮城県)において、第30回日本老年歯科医学会学術大会(米山武義大会長、佐藤裕二理事長)が「食べる力を支える老年歯科医学」をテーマに開催され、1,800名を超える参加者が参集した。

 本大会は、2年に一度、日本老年学会を構成する7学会(日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会)の合同大会で、合同シンポジウム14講演中10講演に本会所属の演者らが登壇し、各分野において歯科からの提言がなされた。

 2日目のシンポジウム1「口腔機能低下症のこれから」では、水口俊介氏(医歯大教授)を座長に迎え、小嶺祐子氏(厚生労働省)、池邉一典氏(阪大教授)、渡邊 裕氏(北大准教授)、竹内周平氏(東京都勤務)らが登壇した。

 はじめに、口腔機能低下症が平成30年度歯科診療報酬改定に収載されるまでの経緯が説明され、高齢者の歯科受診率が増加している現状をふまえ、口腔機能を複合的に評価し、総合的に管理を行っていく重要性が示された。課題として、診断基準はあるものの、管理法が明確化されていないことが挙げられたほか、実際の検査では咀嚼能力検査や嚥下スクリーニング検査では機能低下が認められにくく、反対に舌圧測定検査では低舌圧が多く認められるなど、診断基準の問題点が提示された。さらに、在宅における歯科訪問診療では検査機器の入手が難しいことや、低下症と障害の見極めが困難であり病態のミスマッチがあることなど現場からの問題提起もされた。生まれたばかりの病名であり、臨床現場での声を取り入れ、それに応える形で活動・発信、厚生労働省への働きかけをしていこうと決意が新たにされたシンポジウムであった。

 合同シンポジウム12「オーラルヘルス・在宅における口腔のケア・誤嚥性肺炎予防」では米山大会長(静岡県開業)、山谷睦雄氏(東北大教授)を座長に、横村光司氏(聖隷三方原病院)、堀田晴美氏(東京都健康長寿医療センター)、吉田光由氏(広島大教授)の3名が登壇。

 ディスカッションでは、一般に「口腔ケア」と表記される用語を歯科医療従事者が行う「口腔健康管理」と歯科医療従事者以外が行う「口腔ケア」に峻別する流れを受け、その違いや他職種との連携法についての議題があがった。毎食後のブラッシングは歯科以外の職種や家族が担うため、他人事ではなく「歯科の問題」として捉え、他職種や家族のサポート・提案がよりいっそう重要であると強調された。最後に米山氏が「誤嚥性肺炎は死にかかわるもの。専門職が、より真剣に考えて対応していかなければならない」と強く訴えた。

 なお、次期大会は、水口俊介氏の大会長のもと、きたる2020年6月20日(土)から21日(日)、パシフィコ横浜ノース(神奈川県)において開催予定である。