Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年7月27日

第32回日本顎関節学会総会・学術大会開催/第6回アジア顎関節学会併催

「回顧と前進」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる7月27日(土)、28日(日)の両日、学術総合センター・一橋講堂(東京都)において、第32回日本顎関節学会総会・学術大会(近藤壽郎大会長、理事長)が「回顧と前進」をテーマに掲げ開催された。また、第6回アジア顎関節学会が併催され、会場には両日合わせて800名を超える参加者が集い盛況であった。

 1日目の午前は、メインシンポジウムとして近藤壽郎氏(日大松戸)、鱒見進一氏(九歯大)の座長のもと、「顎関節症専門医が目指す未来」について、小嶺祐子氏(厚生労働省)、住友雅人氏(日本歯科医学会)、高木律男氏(新潟大)らが登壇し、歯科保健医療、歯科医療における専門医の必要性、顎関節症専門医制度についてそれぞれ解説した。

 午後の特別講演では、M. Franklin Dolwick氏(米国・フロリダ大)が「45 years of TMJ Surgery 1976-2019, Current Philosophy and Observations」と題して、顎関節症治療における自身の外科治療の45年の歴史を紹介した。また、アジアンシンポジウム「DC-TMD: Update and Prospective in Asian Region」では、TMDの臨床基準であるDC/TMDのアジア諸国における取組みが海外演者らによって披露された。別会場では、ハンズオンセミナーが行われ、DC/TMDに準拠した咀嚼筋および顎関節の触診をインストラクター指導の下で参加者が実際に行い、具体的な方法の習得に取組むセミナーが行われた。

 1日目の最後には「矯正歯科治療における下顎頭吸収を考える」と題して、イブニングセミナーが行われた。本セミナーは、矯正歯科治療により下顎頭吸収を発症する場合があり、その原因や対応について矯正歯科医らが講演。成長期に下顎頭吸収と矯正治療の時期が重なるため、初診時の顎関節の診査、および矯正治療中に発症した場合の対応が重要になること、また下顎頭吸収の原因を追究するうえでの医科・歯科の連携、下顎頭吸収についてさまざまな解析が行われていることなどが解説された。

 2日目は、高嶋真樹子氏(新潟大医歯学総合病院)による平成30年度覚道健治賞受賞講演の後、1日目同様、シンポジウム、教育講演など多彩なプログラムが行われた。特に、日本口腔顔面痛学会と行われた共催シンポジウム「顎関節領域に生じた慢性疼痛をどう鑑別するか?」では、小見山 道氏(日大松戸)、村岡 渡氏(川崎市立井田病院)の座長のもと、佐藤 仁氏(昭和大)、野間 昇氏(日大)、大久保昌和氏(日大松戸)、坂本英治氏(九州大)が登壇し、中枢性感作、三叉神経ニューロパチー、頭痛、心理社会的因子による影響などをキーワードに、顎関節領域の慢性疼痛を紐解き、その対応法などを解説した。また、「開業医のための顎関節症治療―アップデート講座―」と題して行われたシンポジウム3では、顎関節症における鑑別診断の勘所や医療面接のポイント、基本的な治療法などが開業医を中心とした演者によって解説され好評を博した。

 なお来年は、矢谷博文大会長(阪大)のもと、7月4日(土)、5日(日)の両日、京都テルサ(京都府)にて開催予定である。