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2008年11月2日

「QDT購読キャンペーン講演会 いまさら聞けない補綴治療」(第6回・新潟会場)開催

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 さる11月2日(日)、新潟卸センターNOCプラザ NOCホール(新潟県)において「QDT購読キャンペーン講演会 いまさら聞けない補綴治療」(第6回・新潟会場)が開催された(クインテッセンス出版主催)。第6回目を迎える本講演会は、既報のとおり「補綴雑誌」としての「QDT」を若手歯科医師にいっそう周知する目的で開催されたもの。会場には多数の若手歯科医師が参集し、講演内容はもちろん小社および協賛企業の展示ブースにも熱心に目を通していた。以下に、各演題の概略を示す。

(1)「補綴治療の基礎を学ぶことの重要性―まず、歯列の正常像を知る―」(榎本紘昭氏、新潟県開業)
 本講演で榎本氏は、「歯科治療が目指すゴールは健全な形態である」「そのためには、歯列の正常像や解剖学的形態を熟知することが基本である」と再三にわたり強調。さらに歯や歯列の外形だけではなく、生物学的幅径など歯周組織の正常像についてもわかりやすく解説した。また、症例としてはインプラントによって咬合支持を回復させたケースを示し、氏の述べる正常像を回復させる補綴治療の実例としていた。

(2)「実践! 若手歯科医師のための歯冠修復マニュアル まずはここから 特別編:いまさら人に聞けない咬合採得・咬合調整」(萩原芳幸氏、日大歯学部歯科補綴学教室3講座准教授)
 本講演で萩原氏はまず、「治療に用いる顎位を正しく理解し、選択する」ことが重要であるとし、顎位の種類を治療の必要性をもとに分類した。また、中心位の定義や治療時に中心位が必要な場合、そして有歯顎と無歯顎における顎位の考え方の違いなどについて詳説した。
 また、咬合調整の目的として、咬合性外傷から歯周組織を保護すること、筋の過緊張の除去、咀嚼効率の改善などを挙げて各項目ごとに解説。さらに「歯髄炎の症例や義歯床下に褥瘡性潰瘍が生じた場合にはまず咬合をチェックしよう」とし、咬合調整の重要性を強調するとともに実際の方法について解説した。

(3)「吸着する下顎総義歯の作り方 ―義歯で患者の信頼を得るために―」(阿部二郎氏、東京都開業)
 本講演で阿部氏は、(1)吸着とは何か、(2)私の総義歯の過去、(3)医院改革、(4)私の考える(吸着のための)コツと問題点、(5)BPS(Biofunctional Prosthetic System、Ivoclar Vivadent,白水貿易)について、(6)吸着義歯の機能の検証、(7)これからの歯科人生を楽しもう、という7項目について語った。これらのうち、(2)、(3)では阿部氏が開業以来、患者の数をこなすことに明け暮れていた時代と若手時代の義歯に関する悩みについて披瀝。それを踏まえ、若手歯科医師に対して「まずは教科書どおりに作ってみること」「多くの講習会に出席すること」「名人について学ぶこと」の3点が重要であるとした。また、演題にある下顎総義歯の吸着に関しては、フルバランスドオクルージョンの付与やレトロモラーパッド部の確実な封鎖、そして氏が開発中の無圧スナップ印象用トレーである枠なしトレーやBPSの顎位印象用トレーであるセントリックトレーの活用法などについて多数示した。

(4)「臨床に即した失敗しないCRダイレクト修復」(吉田康二氏、東京都開業)
 本講演で吉田氏はまず、「最近、CRを用いた素晴らしい症例が多数発表されているが、その適応と限界をしっかり把握しておくことが重要である」と述べ、確実な診査・診断のもとでCRを活用することを訴えた。
 また、CRダイレクト修復において生じやすい失敗として、色調が合わない点と早期に脱離してしまうという2点を挙げ、それぞれに対する対策について詳説した。前者については、色相・彩度・明度の考え方についてしっかり理解しておくことやメーカーによるCRの色調の違いなどが、そして後者については適切な窩洞形態の付与法や光重合時の注意点などが示された。また、歯科技工士のテクニックに学んだ前歯部CR修復時のレイヤリング法についても示され、まさに初心者にとって理解しやすい内容となっていた。
 なお、本講演会はひきつづき、2009年3月15日(日)に名古屋で、同4月19日(日 に金沢において開催される予定である。