2020年8月8日掲載
歯科技工士問題、歯科医師が提言
「歯科技工士問題 解決への提案」、YouTubeでライブ配信

田尾耕太郎氏は、低賃金や長時間労働、歯科技工士不足による歯科技工を取り巻く問題の解決策として主に、(1)保険歯科技工の効率化(大手ラボなどの環境に集約)、(2)自費歯科技工士の増加と海外への市場拡大――の2つを挙げ、利益率の向上を提案した。また、歯科技工界全体として利益率が向上しなければ、歯科技工士の労働条件の根本的な問題解決は期待できないとし、海外で一定の評価を受けている日本人歯科技工士のような質の高い歯科補綴物の「価値」を伝えることに取り組む必要性を強調した。
今回ライブ配信によって、多くの歯科関係者があらためて共通認識をもつことで、歯科技工士問題の解決に向けた具体的な行動を起こすキッカケづくりになったことは評価すべき点といえる。しかし、国民皆保険制度下で保険技工が継続されるかぎり、歯科医師と歯科技工士の職能団体間での話し合いによる問題解決は不可避である。また歯科医師と歯科技工士の双方にとって、お互いが患者さんのために良質な歯科医療を提供するパートナーなのか、あるいは歯科補綴物というモノづくりの外注先としての位置づけなのか、その認識の違いによっても歯科技工士問題の解決のスピードは変わるだろう。今後の動向に注目したい。