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2020年9月13日

関東甲信越歯科医療管理学会第26回学術大会が開催

「幸福な人生百年時代を迎えるための歯科医療の位置づけを考える」をテーマに

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 さる9月13日(日)より、関東甲信越歯科医療管理学会第26回学術大会(上條英之大会長、尾崎哲則理事長)が「幸福な人生百年時代を迎えるための歯科医療の位置づけを考える」をテーマにWEB開催(オンライン事前録画等方式)にてスタートした。

 まず特別講演1「フレイルと転倒」では、佐藤裕二氏(昭和大教授)による座長のもと、原田 敦氏(社会福祉法人仁至会 介護老人保健施設ルミナス大府施設長)が講演。転倒は自立歩行の破綻であるとしたうえで、その基盤にはフレイルが存在していること、転倒は要介護原因の4位、不慮の事故による死因の1位であること、1年間に10~20%の高齢者が転倒し、その5~10%が骨折していることなどをデータとともに紹介。高齢者への運動介入は転倒・骨折予防の高いエビデンスがあるが、フレイルにおける成績はまだ不明と述べ、「いずれの局面においても他職種連携がキーである」とまとめた。

 つづいて特別講演2「人生100年時代の歯科医療と地域包括ケアにおける役割」では、本大会実行委員長の北村隆行氏(神奈川県開業)の座長のもと、唐澤 剛氏(慶應大特任教授)が講演。まず、日本の課題として、1)急速すぎる人口減少、2)大都市の高齢者人口の爆発、3)東京1極集中、4)大人手不足時代、5)AI・ICT・情報化の5つを掲げ、それぞれ解説したうえで、「今後はAIやICTの発達により、医療・介護は生活と融合していくだろう」と述べた。また、地域包括ケアについては、縦軸の包括ケアである“医療介護連携”と、横軸の“生活支援とまちづくり”の2軸について言及。地域に根ざし、それぞれの人の物語を尊重しながら医療と介護を一体的に提供することの重要性を説いた。

 シンポジウム「健康寿命の延伸に向けてレセプト特定健診等情報データベースの歯科診療での応用を考える」は、大会長の上條氏(東歯大教授)の座長のもとで開催。演題、演者を以下に示す。

「医療・介護等のビッグデータの利活用に向けて取組について」新畑覚也氏(厚生労働省保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室室長)
「日本発の新しいデータベース『NDB』の概要、課題、展望」野田龍也氏(奈良県立医大准教授)
「歯科口腔保健分野におけるNDB活用の現状と課題」恒石美登里氏(日本歯科総合研究機構)
「歯科分野でのNDB使用経験から分かってきたこと・その成果」鈴木誠太郎氏(東歯大)
 なかでも恒石氏は、「歯科治療状況と医療受療動向との関連調査」「歯科治療状況と医科受療状況(医療費や認知症)および地域差との関連調査」の研究名称で実際にNDBを用いて行った分析について紹介。自身の利用体験から感じたNDBの強みと弱みについて解説した。

 その他、歯科口腔保健セミナー、一般口演10題も行われた。なお、本学術大会は10月18日まで開催(要参加登録・有料。URLはhttps://kanto-koshinetsu.com/meeting-join/)。「みんなが参加したくなる関東甲信越歯科医療管理学会」をスローガンに掲げる本学会の今後に注目したい。