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2022年6月16日

株式会社資生堂と神奈川県歯科医師会、コラボレーション事業を展開

池山和幸氏による化粧療法の講演が行われる

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 さる6月16日(木)、株式会社資生堂と神奈川県歯科医師会のコラボレーション事業「化粧を用いたオーラルフレイル予防の新たなアプローチ~人生100年時代、住み慣れた地域でいつまでも肌も口も健康に~」がWeb配信にて開催され、神奈川県歯科医師会会員ら103名が視聴した。

 冒頭、松井克之氏(神奈川県歯科医師会会長)は「オーラルフレイル予防や地域共生社会のため、ぜひ化粧療法を活用していただきたい」と会員へビデオメッセージを送った。

 その後、池山和幸氏(株式会社資生堂、医学博士、介護福祉士)による「化粧を用いたオーラルフレイル予防の新たなアプローチ~人生100年時代、住み慣れた地域でいつまでも肌も口も健康に~」と題する講演が行われた。

 化粧療法における「化粧」とは「整容」に分類されるもので、口腔健康管理の中の口腔ケア、手洗い、爪の手入れ、洗顔、整髪、髭剃り、そして化粧(スキンケア、メイクアップ)を指す。現在までにこれら化粧(整容)により、(1)脳機能の上昇(脳の活動が高まる、ストレスホルモン〔唾液中コルチゾール〕が減少する)、(2)脳機能の向上(脳波のパターンが正常域に近づく、要介護者の認知機能低下の抑制)、(3)化粧による身体機能の向上(握力が上昇し、自立度が上がる)、(4)口腔機能の向上(唾液分泌量が増加)などのエビデンスが得られている。また男女ともに高齢者が化粧をすることにより、社会とのつながりができ、健康長寿につながっていると報告されている。

 オーラルフレイルの前段階として社会的フレイルが知られているなか、最新の研究では、高齢者が化粧療法を行うことによって「メイクアップをすることにより外出したくなる」「1日の平均歩数が上がる」ことがわかってきており、「社会とのつながりが保たれ社会的フレイル予防になると考えられる」と池山氏は説明。また、池山氏の調査によると、70歳以上でも84%が行っている毎日のスキンケアの際に触る顔周辺の唾液腺の刺激などが、口腔ケアにつながることを説明するきっかけになることが明らかになっており、歯科が化粧療法を取り入れる意義をわかりやすく解説した。

 神奈川県歯科医師会では、今後も資生堂社とのコラボレーション事業を継続し、会員向けに化粧療法講座などの開催を予定している。