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2023年2月5日

デンタルナビゲーション研究会第1回シンポジウム開催

特別講師として医師の宮嶋 哲氏を招聘

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 さる2月5日(日)、アキバホール(東京都)において、デンタルナビゲーション研究会第1回シンポジウムが開催され、約130名が全国から参集しその関心の高さが伺えた。

 本研究会は、鮎川保則氏(九大)、河奈裕正氏(神歯大)、北所弘行氏(北海道開業)、木津康博氏(神奈川県開業)、城戸寛史氏(福歯大)、近藤尚知氏(岩手医科大)、下尾嘉昭氏(東京都開業)、中村社綱氏(熊本県開業)、中本哲自氏(朝日大)、山下佳雄氏(佐賀大)をメンバーとし、ナビゲーションシステムを有効活用することにより、低侵襲で安全確実なインプラント治療技術の普及を促進するため、臨床応用例を検討し、ナビゲーションシステムによる治療技術の平準化の確立と、さらなる可能性の探求と発展に寄与することを趣旨とし2021年12月に発足した。

 その初回シンポジウムとして、日本顎顔面再建先進デジタルテクノロジー(JADT)学会協力のもと宮嶋 哲氏(医師、東海大)が特別講師として招聘され、研究会メンバーとともに医科および歯科におけるナビゲーション治療の変遷やその有効性の知見が述べられた。

 宮嶋氏は、「手術支援ロボットdaVinciの変遷と泌尿器癌診療の現状」として多岐にわたる泌尿器治療をわかりやすく紹介するとともに、手術現場におけるテクノロジーの変遷と自身の軌跡にふれた。手術支援ロボットの正確性、手術時間の短縮、何よりも低侵襲の実現、かつその平準化を目の当たりにし、今や必須の手術機器となっていると語った。また、今後の展開について聞かれた氏は、術中、術者に与える触感がテーマになってくるのではないかと述べ、術者が実際に感じる手の感覚の重要性を示唆した。

 デンタルナビゲーションについて、システムの精度から臨床応用まで、以下の講演が行われた。

「ナビゲーションシステムの概要」(座長:鮎川氏、演者:北所氏)
「ナビゲーションシステムの埋入精度について」(座長:近藤氏、演者:山下氏)
「ナビゲーションシステムの臨床教育への活用」(座長:中本氏、演者:城戸氏)
「ナビゲーションサージェリーの臨床的優位性と留意点」(座長:山下氏、演者:木津氏)
「ナビゲーションシステムの臨床応用について」(座長:城戸氏、演者:下尾氏)
「シンポジウムまとめ」(中村氏)

 大学での研究による精度検証の結果では、ナビゲーションを用いた模型埋入の精度においては、インプラント治療の経験年数や年代などでの差がなかったことや、術中リアルタイムで何が起こっているかを学べる、他にない有効な教育ツールであることなどが発表された。また、臨床応用の観点では、治療の安全性や正確性を向上させた静的ガイドの有効性をふまえ、動的ガイドでは静的ガイドがもつ課題が解消され、正確性を保ちながらもより術者の術中判断や意図が反映できる支援ツールであることが臨床例を通じて述べられた。そして、歯科インプラント治療におけるテクノロジーの発展も、単なる機器の進化ではなく、これまで培ってきた術者の技術とデジタルテクノロジーの融合が重要であり、今後もその発展に寄与したいと本会は括られた。

 現在、国内では歯科インプラント用手術ナビゲーションとしてX-Guide®(ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社)が薬事承認されており、シンポジウムでも本システムを中心にさまざまな講演が行われたが、ナビゲーション手術の時代が確実に始まったことを来場者は実感した1日となった。