2023年3月28日掲載

米澤大地氏が「GPがはじめる矯正歯科臨床の手引き」をテーマに講演

クインテッセンス出版株式会社、第36回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第36回WEBINARを開催
 さる3月28日(火)、米澤大地氏(兵庫県開業)によるWEBINAR#36「GPがはじめる矯正歯科臨床の手引き」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは『GPのための矯正歯科臨床ガイドブック』の内容をベースに行われた。

 米澤氏は冒頭、一般歯科医(GP)の矯正歯科治療との向き合い方に言及。矯正歯科治療を行うスタンスとして、「包括的な歯科治療を担ううえで、歯列不正を補綴治療のみで整えることは困難であることから、咬合調整の手段として行う」と説明した。そのうえですべての歯科医師が矯正歯科治療を行う必要はなく、信頼できる矯正歯科医との連携のもと包括的な診療を行うスタイルもあると提案した。

 次に、矯正歯科治療の特性について解説。複数のシステムを試しながら術者にあった方法を選択することは難しく、「出会った流派を師資相承していくある種の職人技」と表現した。そして、矯正歯科治療の歴史を紹介しながら多数歯にブラケットを装着して矯正歯科治療を行う、マルチブラケットシステムについて詳説した。

 続いて、前歯の前突や叢生をともなう不正咬合に対するワイヤー矯正治療のメカニズムについて「上下顎問わず第一小臼歯を抜歯することで、前歯を移動するスペースを確保する。そして、アンカレッジロスを見越しながら前歯を遠心に移動させ叢生を解消するとともに、正常咬合を目指す」と動画を交えながら解説した。あわせて、前歯後方移動の方法を紹介し、術者によって手段は多種多様であることを付け加えた。その後はAngleの不正咬合分類Ⅰ~Ⅲ級に該当する実際の症例を複数供覧しながら、患者ごとに異なるアプローチを根拠とともに披露した。

 引き続き、矯正歯科治療を行ううえで1)レベリング、2)リトラクション、3)バイトシーティング(咬合の緊密化)という3つの段階別のポイントを、動画や模式図を用いながら詳説した。他にも、抜歯後から3か月から6か月の期間は、歯が動きやすい重要な時期(RAP効果)であることや、ワイヤーのサイズ変更、張力の強さの調節などについて述べられた。

 最後は、Tweedの抜歯基準に基づいた抜歯・非抜歯の判断基準について言及。不正咬合の要因やタイプ別の抜歯部位や抜歯頻度についてふれた。

 なお、次回のWEBINAR#37は、きたる4月11日(火)、木原綾子氏(福岡県勤務)、林 美穂氏(福岡県開業)を招聘し、「インプラント・はじめの一歩 ~安心安全に行うインプラント埋入の勘所とメインテナンスシステムの重要性~」が開催予定である。申込みはこちらから。

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