2023年7月16日掲載

「技術革新へのNavigations」をテーマに

日本3Dプリンティング矯正歯科学会・第2回学術大会開催

日本3Dプリンティング矯正歯科学会・第2回学術大会開催
 さる7月16日(日)、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)において、日本3Dプリンティング矯正歯科学会・第2回学術大会(日本3Dプリンティング矯正歯科学会主催、松成 篤大会長)が開催され、約200名の歯科医療者が参集した。大会テーマは「3Dプリンティング矯正歯科~技術革新へのNavigations」。3Dプリンターを用いて製作した矯正装置をどのように治療に活用しているかを、10名の演者が披露した。

 特別講演では、Simon Graf氏(スイス開業)が、「Direct Printied orthodontic appliances and aligners: Where are we now?」の演題で講演した。氏はメタルプリントの3Dプリンティング矯正装置のパイオニアで、自身が開発した装置を主に小児の矯正治療に利用している。今回は、そうした装置のなかから、MSE(Maxillary Skeletal Expander:上顎骨格拡大装置)やアライナーをメインに、設計・製作時に気をつけていることや、材料の選び方などを症例とともに紹介した。

 山口修二氏(同学会代表理事、埼玉県開業)は、「革新的メタルプリント矯正装置SHU-lider®による犬歯・小臼歯・大臼歯の歯体移動」の演題で講演。SHU-liderは、氏が株式会社アソインターナショナルと共同開発した装置。口蓋部に打ち込む矯正用アンカースクリューを固定源として、裏側から伸ばしたワイヤーやバンドにより歯を移動させていく。従来の装置よりも「上顎大臼歯の遠心への歯体移動」効果にすぐれるが、本講演ではさらに、犬歯や小臼歯の歯体移動、前歯のリトラクション、上顎の急速拡大効果についても解説した。 

 大会長の松成氏(大分県開業)は、「矯正歯科臨床におけるNavigation systemとしての3D digital toolsの役割―Reconsideration of CBCT, Scanners and 3D printers―」と題して講演。歯科矯正領域での3大デジタル機器(スキャナー、CBCT、3Dプリンター)について、その役割を表面形状を調べるスキャナーと、内部構造を調べるCBCT、それらの情報を統合し具現化・実体化する3Dプリンターと定義した。最後には「3Dデジタルツールは、ナビゲーションシステムとして今後の歯科矯正治療に必須である」と締めくくった。

 CADソフトによりデータを作成・修正し、目的に合わせた立体構造物を出力できる3Dプリンター。患者への治療説明ツールとしてはもとより、外科医・補綴医など他科との情報共有にも、そのはたらきが期待されている。

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