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2023年8月5日掲載

全国から歯科医療関係者・メーカー関係者約200名が参集し盛会に

第38回日本歯科産業学会総会ならびに学術講演会(2023年度日本歯科理工学会関東地方会 併催)開催

第38回日本歯科産業学会総会ならびに学術講演会(2023年度日本歯科理工学会関東地方会 併催)開催
 さる8月5日(土)、6日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部(東京都)において、第38回日本歯科産業学会総会ならびに学術講演会(2023年度日本歯科理工学会関東地方会 併催、新谷明一大会長、川原 大会長)が開催された。会場には全国から歯科医療関係者・メーカー関係者約200名が参集し、盛会となった。

 初日にはまず、川原会長(臨床器材研究所)と新谷大会長の(日歯大生命歯学部歯科理工学講座)挨拶に引き続き、「一般口演1・2」として5名が登壇。「(1)CAD/CAMクラウンの部位別臨床成績の比較検討」(川原氏)、「(2)咀嚼計における頭位の傾きと咀嚼能力、咀嚼回数および咀嚼テンポとの関連性」(武田佳大氏、北海道医療大歯学部 口腔機能修復・再建学系 クラウンブリッジ・インプラント補綴学分野)、「(3)Influence of surface treatments on the low-temperature degradation behavior of speed-sintered zirconia」(Wang Bohua氏、医歯大高齢者歯科学分野〕)、「(4)ステイン用陶材の焼成条件が高透光性ジルコニアの透光性と結晶構造に与える影響」(片田治子氏、医歯大高齢者歯科学分野)、「(5)プライマーの種類がPEEKと支台築造用コンポジットレジンとの維持力に与える影響」(染屋智子氏、日歯大生命歯学部歯科理工学講座)と題し、主に材料学的見地からの演題が並んだ。

 なかでも(1)の川原氏の演題は、長石系ブロック(VITA Blocs、VITA Zahnfabrik)を小臼歯クラウンに用いた総計256歯について、診療録より後ろ向きに最大2,356日間観察したもの。その結果、全症例での累積生存率(以下、CSR)は約4年9か月の間に92%にまで断続的に低下し、その後6年経過すると87%になったこと、また対合歯が可撤性床義歯の場合のCSRは100%、修復部位が遊離端であった場合のCSRは65%で、非遊離端であった場合の89%にくらべて著しく低くなったことなどが示された。

 その後、会場では引き続き「特別講演」として、大河雅之氏(東京都開業、日本臨床歯科学会東京支部長)が「デジタル化がもたらす歯冠修復の未来」と題して登壇。現在までの約20年間にわたってラミネートベニアに取り組んできた経験から、ラミネートベニア接着の歴史、MIの潮流とみずからの学びの歴史、マテリアルの変遷、長期経過症例や症例に応じた支台歯形成のクラシフィケーションなどに加え、デジタルとベニアの融合についても時間を割いて詳説。口腔内スキャナーにおいてスキャン可能な隣接面間の距離は0.5mm以上であることや、内面の適合を得るための支台歯形態修正法などについて示し、実際にすぐれた適合を示す臨床例を提示した。

 また、初日の締めくくりとしては企業講演が行われ、クラレノリタケデンタル株式会社、株式会社松風、デンツプライシロナ株式会社、YAMAKIN株式会社、および株式会社ジーシー(登壇順)のスタッフがそれぞれに自社の製品や最新テクノロジーなどについて訴求していた。

 続く2日目にはまず、教育講演が行われ、「令和の接着におけるスタンダードとは」をテーマに高見澤俊樹氏(日大歯学部保存学教室修復学講座)と峯 篤史氏(阪大大学院歯学研究科 クラウンブリッジ補綴学・顎口腔機能学講座)の2氏が登壇。高見澤氏は「直接法『歯質接着の最前線』」、峯氏は「間接法『支台築造法における接着歯学の意義:臨床アウトカムと非破壊観察』」と題し、直接法による修復と間接法による修復それぞれに求められる接着のニーズや各システムの特徴・使いこなしなどについて示した。

 また、2日目の午後にはシンポジウムとして、「歯科医師と歯科技工士のチームプレイ」が行われ、「(1)クラウンブリッジのデジタルワークフローにおける歯科医師と歯科技工士のチームプレイ」(三浦賞子氏、明海大歯学部機能保存回復学講座クラウンブリッジ補綴学分野/山本真也氏、歯科技工士・有限会社アイセラミック)、「(2)開業医と開業ラボの連携」(海渡智義氏、東京都開業/斎藤宗樹、歯科技工士、プレシジョン・デンタル・プロダクト)、「(3)矯正歯科分野におけるデジタル化の現在と未来」(綿引淳一氏、東京都開業/井沢秀彦氏、歯科技工士、株式会社イザワ・オーソ・プレイス)の3題が行われ、クラウン・ブリッジおよび矯正歯科における、まさに歯科医師と歯科技工士のチームプレイのありかたが示された。

 その他、今回の学術講演会ではランチョンセミナー「IPS e.max is the complete restorative system 〜今こそe.max systemのアップデートを〜」(原田光佑氏、神奈川県開業)や、会場を神楽坂下の水上レストランに移しての懇親会も併せて行われ、アフターコロナを感じさせる盛況となっていた。

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