2023年8月11日掲載

アライナー矯正歯科治療におけるリカバリーを中心に

第8回日本アライナー医療研究会(JAMS)、Web配信にて開催

第8回日本アライナー医療研究会(JAMS)、Web配信にて開催
 さる8月11日(金)、日本アライナー医療研究会(槇 宏太郎代表)による第8回研究会が、土岐泰弘氏(三重県開業)の司会進行のもとWeb配信にて開催された。

 開会の辞として槇氏(昭和大特任教授)が「歯科医師は、アライナー矯正治療はすべての症例で改善するということはない、ということを念頭に置きながら治療にあたり、ディスカッションしながら治療を向上させていく必要がある」と述べた後、同研究会が継続して扱っているアライナー矯正治療とリカバリーをテーマに、以下の症例供覧とディスカッションが行われた。

「苦手な移動に対する解決の糸口」土岐氏
「顎関節症状をともなった開咬患者にアライナー治療を行った一症例」甘利佳之氏(東京都開業)
「アライナー治療で起こった不測の事態について」呉 貴徳氏(東京都開業)
「アライナー矯正の問題はアライナー法で Wire法におけるリカバリーを避けるには」西村則彦氏(福島県開業)
「アライナー治療中に歯冠変色が起きたケースについての考察」窪田正宏氏(石川県開業)
「アライナー矯正装置からの歯の挺出力について考える」常盤 肇氏(東京都開業)
「“アライナー装置(ClearCorrect)”による過蓋咬合症例」文野弘信氏(東京都開業)

 このうち土岐氏、甘利氏の講演では、患者が抜歯を受け入れない、顎関節症状などの制限や不正歯列以外の問題があるなか、アライナー矯正治療では装置の形態からよく起こるといわれる臼歯部開咬が生じてしまったケースを供覧し、みずからの見解を述べた後、他の演者や会員に意見を求めた。

 また窪田氏の講演では、アライナー矯正治療中、あるいは保定中において発生することのある歯冠の変色について発表した。氏は、口腔内写真など自院にある採得資料の比較、海外論文の参照を行い、再度CBCTなどの採得資料を振り返った際に気づいた、原因の可能性がある所見について解説した。また論文上では歯冠の色と歯髄の血流量との相関が指摘されているため、今後の治療において注視していきたいポイントであることが述べられた。

 最後にディスカッションが行われ、「アライナーの枚数を減らすには」「アライナー単独では難しい抜歯ケースの見分け方とは」「大臼歯遠心移動後の後戻り防止のポイントは」「抜歯ケースにおける下顎大臼歯の近心傾斜防止策は」などと視聴者から寄せられた多くの質問に対して演者らがていねいに回答した。

 日本アライナー医療研究会のホームページはこちら

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