Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2010年4月24日

日本歯科放射線学会第51回学術大会・第7回定例総会盛大に開催

大会テーマは「Next one step:次の50年への1歩」

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる4月23日(金)から25日(日)の3日間、鶴見大学記念館(神奈川県)において、「日本歯科放射線学会第51回学術大会・第7回定例総会」(小林 馨大会長、有地榮一郎理事長)が、大会テーマに「Next one step:次の50年への1歩」を掲げ、盛大に開催された。

 会場では3日間にわたり、花村信之メモリアルレクチャー「歯科における超音波診断の将来展望」(林 孝文新潟大教授)1題、シンポジウムI「歯科放射線学会に望むこと:互いの発展に向けて(モデレーター:岡野友宏昭和大教授、有地榮一郎愛院大教授)、シンポジウムII「顎関節の画像所見の根拠は得られたのか」(モデレーター:近藤壽郎日大松戸教授、小林大会長)2題のほか、特別講演「こころの放射線―仏教が捉えるこころとからだ―」(木村清孝鶴見大学長)、新展開講演「歯科放射線から派生した新展開ビジネスモデル」(鹿島 勇神歯大教授)、一般講演43題、ポスター口演30題など、多くの演題が披露された。なお、初日(23日)には、第17回コンピュータ応用・画像情報研究会、第24回放射線治療懇話会も併催された。

 24日(土)の花村信彦メモリアルレクチャー「歯科における超音波診断の将来展望」(林 孝文新潟大教授)では、いわゆる健康診断で行われている超音波診断を歯科にも応用しようというもので、医科領域では、器械的にはすでに理想型に近いものが臨床応用されており、装置の小型化・低廉化とともに撮影の簡便さを含めた画像解釈の容易さから、歯科でも今後臨床応用していくべきとの提言であった。ただし、教育面の整備が歯科領域ではまだ行われておらず、読影を歯科衛生士に教えて資格制にすることを学会に向けて提言していた姿が印象的であった。

 また、シンポジウム II 「顎関節の画像所見の根拠は得られたのか」(モデレーター:近藤壽郎日大松戸教授、小林大会長、シンポジスト:佐野 司東歯大教授、高橋 哲九歯大教授、瀬上夏樹金沢医大教授、濱田良樹鶴見大教授)では、歯科用MRIの技術の進歩によって、顎関節症の診断に多くの福音がもたらされたが、逆に画像検査を行わないことが最適な判断となるという考えもいまだ散見されている状況が討論された。実際MRIによる画像診断では、円板転位が無症状の関節に約30%もの割合で認められるという。学会では「顎関節痛を有する症例のMRIによる評価が有意義ではないとするエビデンスはない」という結論を出しているが、それを裏付けるためのシンポジウムで、顎関節MRI T2強調像における高信号像「joint effusion」を手がかりに熱い議論が展開された。

 全体的には、コーンビームCTやMRI診断の話題が多く、解像度の評価や被曝線量の軽減に向けた新しい試みが紹介されていた。また、腫瘍の読影について、おもに口腔外科系研究者の発表も多く、いずれにしても実際に使用することになる一般開業医の参加が望まれる。