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2010年7月23日

第29回日本歯科医学教育学会総会・学術大会開催

歯科医学教育の今後の方向性を探る契機に

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 さる7月23日(金)、24日(土)の両日、岩手医科大学(岩手県)において、約400名の参加者のもと、第29回日本歯科医学教育学会総会・学術大会(三浦廣行大会長、俣木志朗理事長)が、「歯科医学教育の新たな方向性を求めて」をテーマに開催された。2日間を通じて、一般口演53題、特別講演3題、ポスター発表123題、2つのシンポジウムなどが行われた。

 シンポジウム1では、「学生教育での心身医学的アプローチ」(コーディネーター:國松和司氏[岩手医大歯学部口腔機能保存学講座歯周病学分野教授])と題して、國松氏「医療系大学教育職員の立場から」、大畑 昇氏(北大大学院歯学研究科口腔機能学講座リハビリ補綴学教室教授)「歯学部教員(なんでも相談員)の立場から」、酒井明夫氏(岩手医大医学部神経精神科学講座教授)「精神医学の立場から」、藤澤美穂氏(岩手医大健康管理センター臨床心理士)「臨床心理士の立場から」、早坂浩志氏(岩手大保健管理センター准教授)「学生支援の立場から」の講演が行われた。近年、歯科界を取り巻く環境が厳しさを増すなか、学業の重圧や対人関係などに疲れ、精神的に追いつめられる学生も少なくなく、それぞれの立場から学生支援の取り組みやその方策について述べられた。

 シンポジウム2は、「口腔医学を見据えた歯科医学教育の再考」(コーディネーター:本田武司氏[福歯大常務理事])と題して、現在までの歯を中心とした技術重視の歯科医学教育から、全身のなかの臓器の1つである口腔を対象とした「口腔医学教育」に見直しを図る必要があるとの理念のもとに開催された。会場では、北村憲司氏(福歯大学長)「口腔医学 -新しい歯科医師養成教育の基準-」、中居賢司氏(岩手医大歯学部総合歯科学講座歯科内科学分野教授)「歯科内科学の立場から」、宮崎 隆氏(昭和大歯学部長)「チーム医療に参画できるオーラルフィジッシャンを目指して」、西原達次氏(九歯大健康促進科学専攻健康増進学講座感染分子生物学分野教授)「公立歯科大学の試みについて」、戸塚靖則氏(北大大学院歯学研究科口腔顎顔面外科学教室教授)「現状の問題点は何か、何を変えるべきか」、木村博人氏(弘前大大学院医学研究科歯科口腔外科学講座教授)「医学部附属病院歯科口腔外科の立場から」の講演が順次行われた。このなかで、平成20年度よりスタートした福岡歯科大学を代表校に全国8大学で連携して口腔医学の学問体系の確立を試みる戦略的大学連携支援事業の取り組みや、医科歯科総合大学の強みを生かして連携した学部教育の実践例などが紹介された。また、超高齢社会を見据えて歯科医師の全身管理能力を高める必要性と教育への導入が強調されるなど、全身の一環としての口腔医学教育への移行・推進を迫る意欲的なシンポジウムとなった。

 少子高齢化の進展や疾病構造の変化にともない、歯科医療も変化に即したあり方や対応が強く求められるなかで、まずはその基盤となる歯科医学教育の新しい方向性を提示・提言する本学会の取り組みに、今後も期待が寄せられる。