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2023年4月号掲載

日歯新会長が示す歯科界の方向性

 日本歯科医師会(以下、日歯)の新しいリーダーが決定した。堀 憲郎会長の次期会長選挙の不出馬表明を受けて始まった日歯会長予備選挙は、日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟)会長の高橋英登氏が当選となった。政策の論点に関する大きな争いがなかったことを考えれば、高橋氏の日歯連盟におけるこれまでの活動結果が評価されたことになる。

 すでに日歯と日歯連盟は活動を異にするが、高橋氏は「今まで以上に連携は密にする」と各種報道で表明している。一本化されている日本医師会の政治色が濃いことを考えると、日歯も同じ展開を進めることが予想される。新執行部が取り組まねばならない課題は多岐にわたるが、この先の歯科の未来に明確な方向性を示すことが必要である。

 コロナ禍で社会全体だけでなく、医療界も窮地に立たされている。それは患者の受診控えやコスト増だけでなく、医療制度の根本が崩壊しかかっている。新型コロナウイルス感染症を現在の2類から5類に移行する方針はその1つであり、それにともなう補助金もしかりで今までの医療そのものが歪んでいる。これは医科独自の課題ではなく、歯科も医療再構築の時期であることを認識しなければならない。

 補助金から除外されていた歯科は、この時をある意味好機と捉えたい。医療体制や行政の流れに沿いながら新しい歯科界の未来を拓くために、国民皆歯科健診制度はその突破口になるかもしれない。その実現のためにも、新会長誕生を契機に歯科医療と政治の関係を今一度見つめ直したい。