2026年2月号掲載
Q&A形式で解説した実践書
【PR】歯髄保存に注目が集まるなか 最新のエビデンスと臨床例から vital pulp therapyを紐解く
※本記事は、「新聞クイント 2026年2月号」より抜粋して掲載。
2025年11月に刊行された、泉英之氏による著書『治る歯髄 治らない歯髄 ハイライトQ&A91―臨床で悩むギモンにDr.泉が答える―』。本欄では、泉氏に本書の特徴や読みどころ、活用法などについて語っていただきました。(編集部)
本書執筆のきっかけ
2018年に前著『治る歯髄 治らない歯髄―歯髄保存の科学と臨床―』を出版させていただきました。多くの皆様からさまざまな感想をちょうだいするとともに、講演依頼も多数いただくようになりました。
講演させていただくと、面白いことに参加者から受ける質問がいつも同じような内容なのです。「それは書籍に書いたつもりなんだけれど……」と毎回思うのですが、つまりは私が思っている以上に、きちんと伝わっていないことにある時気づきました。そこで、皆様からよくいただく質問に答えるような書籍が必要だと感じました。
前著の刊行からだいぶ時間も経ちましたし、その間、AAE(米国歯内療法学会)やESE(欧州歯内療法学会)のポジションペーパーなど新しい情報も出てきたことから、歯髄保存に関してアップデートする必要があると感じ、本書を執筆することにしました。
前著との大きな違い
基本的に、前著とは“まったく違うもの”と思っていただけたら幸いです。改訂版でもなく、新しい情報だけを入れるように心がけました。“読者ファースト”を意識し、読みやすさを追求して91のQ&A形式でまとめました。
本書は、「総論」「予後・成功率」「診断」「治療」「その他」の5章構成になっています。いちばんの特徴は、vital pulp therapy(VPT)で難しいとされる「診断」の章にかなりページを割いてある点だと思います。
平易な内容からマニアックな内容まで幅広く書いてありますので、単なるQ&Aにとどまらず、深く学びたい先生にもぜひ読んでいただきたいです。特に今回は、「なぜ、この論文を鵜呑みにしてはいけないか?」など、論文の解釈についてもかなり深く突っ込んで書きました。
本書はいわば「VPT頻出問題集」で、「これだけ把握しておけば疑問を解決できる」と思っています。たとえば、講演を聞いたけれど、なんとなく疑問が残ることがありますよね。その後の懇親会で講師の先生に直接聞いてみて、細かい脇道のような、枝葉のような、だけど知っておきたいことを初めて聞けることがある。まさに、本書はそのようなものです。
講演会でよく受ける質問
100%訊かれる鉄板の質問は、「止血はどうするのか?」です。「泉先生がマイクロスコープで歯髄を見ていくのはわかったけれど、実際に臨床でやろうとするとそれがわからない」と言われます。
人にはラーニングカーブがありますので、経験を積むことでだんだんわかってくることがあります。また、視覚情報だけに頼らず、「感度」「特異度」がわかると、診断力がより上がります。ですが、それを1日で理解するのは難しいのです。「では、どうすればいいのか?」が本書に書いてあります。
歯髄保存で大切なこと
マテリアルに頼ろうとする先生が多いと感じます。しかし歯髄保存においては、診断、治療、最終修復までのすべてのステップで精度が求められます。ハウツーを知りたがりますが、本当に大切なのはそこではないと思います。たとえば、「何の覆髄剤を使っていますか?」と訊かれることが多いですが、覆髄剤よりもじつは最終修復の質のほうが治療の成功には大切という文献がでています。
「なぜ歯髄が治るのか? なぜ死んでしまうのか?」という原理原則を知ることが大切です。“治る歯髄・治らない歯髄”の分岐点はどこにあるのか、そしてゴールはどこにあるのかを考えることが重要なのです。
有髄歯は明らかに長持ちする
私が歯髄保存にこだわる理由は、自分がGPであり、メインテナンスをベースに患者さんと長いお付き合いしているからです。10年、20年のメインテナンスのなかで、無髄歯に過重な負担がかからないように咬合のチェックもしています。
ですが、無髄歯は有髄歯に比較すると喪失率が明らかに高いのです。患者さんは歯が長持ちすることを期待されますが、無髄歯は一定の割合でどうしてもなくなっていきます。もしも「歯根破折で歯を失ったことを経験していない」という先生がいらしたら、その先生は患者さんとのお付き合いがまだまだ短いのだと思います。
歯髄保存でQOL向上を
「歯髄が残ると歯が残る」と思って一生懸命仕事をしていると、患者さんも歯が長持ちして失いません。それは患者さんにとっても私にとってもたいへんうれしいことです。10年、20年と長持ちすると、患者さんのQOLも上がりますし、私のQOLも同様に上がります。
本書をお読みいただき、皆さんのQOLも上がることを願っています。