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2026年3月号掲載

本書のコンセプトは「美容入はいりの健康着地」

歯科医院を立て直すための ホワイトニング&デンタルエステ 活用法が凝縮!

※本記事は、「新聞クイント 2026年3月号」より抜粋して掲載。

 小社2026年1月の新刊として柏野紗耶加氏(株式会社ボーテ代表取締役、歯科衛生士)による『スタッフの主体性を引き出すホワイトニング&デンタルエステ 導入・実践マニュアル』が刊行されました。本欄では、松尾通氏(東京都開業)に、本書の特長と見どころを語っていただきました。(編集部)

ホワイトニングを社会との接点にまで拡張する視点

 本書は、ホワイトニングの技術書として読むと、やや肩透かしを覚えるかもしれない。薬剤の選択や施術プロトコル、即効性のあるノウハウを期待する読者にとっては、専門書というよりも思想書に近い印象を受けるだろう。しかし、歯科経営という文脈で本書を読み直したとき、その立ち位置は一気に明確になる。

 著者の柏野紗耶加氏は、ホワイトニングを、単なる処置や技法として扱っていない。人口減少と市場縮小という、もはや回避不可能な現実の中で、歯科医療が今後どこに活路を見出すのか。その問いに対する、1つの実践的仮説としてホワイトニングを位置づけている点に、本書の本質的な価値がある。

 ホワイトニング自体は決して新しい技術ではない。50年以上前から存在し、多くの歯科医師がその有効性を理解している。一方で、患者さんのリピート率は低く、潜在的な需要が十分に市場として育ってきたとはいいがたい。この「価値はわかっているのに、広がらない」という領域に対し、著者は視点を医療の内側に閉じるのではなく、社会との接点にまで拡張して捉え直そうとしている。

「審美」ではなく、社会に浸透した「美容」を意識

 特に印象的なのは、「審美」と「美容」という言葉の使い分けに対する示唆である。「審美歯科」という概念は歯科界では定着しているが、社会一般においては必ずしも共有された言語とはいえない。一方、「美容」という言葉は、医科・非医科を問わず広く浸透し、患者さんの感覚と直結している。本質的には同じ行為であっても、どの言葉で語られるかによって、その意味や価値の伝わり方は大きく変わる。この事実を歯科界は、これまで十分に意識してきただろうか。本書はその問いを、決して声高ではなく、しかし確実に突きつけている。

歯科の守備範囲を拡げるホワイトニング&デンタルエステ

 エステティックとの連携や、「化粧の一部としてのホワイトニング」という位置づけは、歯科医療の純度を下げる試みと受け取られることもあるだろう。しかし、それは医療の本質を損なうことではなく、むしろ歯科医療の守備範囲を現実に即して再定義しようとする試みと読むべきである。医療である前に、人の生活や自己認識にどう関わるのか。その視点が、本書の随所に通底している。

 歯だけをみる歯科から、口元全体、さらにはその人の印象や社会的なかかわりまでを視野に入れる歯科へ。本書は答えを提示するというよりも、歯科医療がどこまで責任をもち、どこまでふみ込むべきかという問いを、読者一人ひとりに委ねている。

次の時代の歯科のあり方

 著者は、歯科医療の未来を安易な成功論で語らない。現場を知り、葛藤を知り、それでもなお前に進もうとする姿勢が、本書の行間から静かに伝わってくる。本書が示すのは完成されたモデルではなく、思考し続けるための視座である。その誠実な挑戦に対し、歯科界の一読者として、心からの敬意とエールを送りたい。

 ホワイトニングの書であると同時に、歯科が次の時代とどう向き合うかを考えるための、重要な思考の補助線となる1冊である。

各ステップの写真付きの解説で施術内容がわかりやすく示されている。