2021年2月27日掲載
「コロナ禍における歯科医療・口腔ケアの役割」をテーマに
日本歯科色彩学会、コロナ対策オンライン講演会を開催
本講演会は、口腔細菌学の泰斗である奥田克爾氏(東歯大名誉教授)を招いて行われた。奥田氏は、昨年春の新型コロナ感染拡大の当初より、With corona の時代を歯科が生き抜くための医院の感染防御や診療指針などについてさまざまな媒体で発信し続け、なかでも歯科医療とオーラルケアで維持されるオーラルヘルスこそ自然免疫を低下させないうえに、感染リスクを下げ重篤化させない役割をもつことを認識して日常臨床に取り組むべきことを強調している。
講演では「信頼の歯科医療はスタンダードプレコーションの遵守から」として、スタッフ一丸となった医院の感染防御が、また「予防に勝る治療法はなし――ワクチンの源泉」として、現在国内でも始まっている新型コロナワクチン接種に関連して、最新の知見が語られた。
新型コロナの感染後に獲得される抗体価の高さから、ワクチン接種による集団免疫の獲得という、感染収束に向けた新たな希望が生まれている一方で、異例の速さで開発されたmRNAワクチンについては、副反応などへの警戒感をもつ人も多い。講演のなかでは、集団免疫の獲得に向け偏見のない選択をするための知識として、世界の英知が結集されスピード開発されたmRNAワクチンと従来のインフルエンザ予防接種などの不活化ワクチンの違い、そしてファイザー社・ビオテック社のmRNAワクチンとモデルナ社のmRNAワクチンの働きと効果、気になる副反応や変異株の問題なども、詳細な図解とともに解説された。
画期的なDNAワクチンの高い科学技術をもちながら、開発費が不足しているためにワクチン後進国となっている国内の現状なども言及され、With corona、そしてAfter coronaを見据えていくための示唆に富んだ講演となった。
なお、きたる6月26日から27日の両日、ライブ配信による第28回日本歯科色彩学会総会・学術大会が開催予定である。事前参加登録などはこちらから。