2024年2月15日掲載
令和6年度診療報酬改定の答申を受け、総括と解説がなされる
日歯、臨時会見を開催
さる2月15日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、高橋英登会長)による臨時記者会見が開催された。本会見は、令和6年度診療報酬改定の点数案が前日開催された中央社会保険医療協議会(中医協)より答申されたことによるもの。
高橋会長は冒頭、国の方針としてデフレ脱却に向けた賃金アップが叫ばれるなか「重要な社会インフラを担う医療関係職種の賃金アップが伸び悩むことがあってはならない」ことを強調。そして、今回の診療報酬本体+0.88%、歯科は+0.57%という改定結果に対し、厳しい改定となったとの見解を述べつつも、「『マイナス改定が適当』との見解もありながら、十分とはいえないながらも国民に対して適切な医療提供を行うための原資をいただいた」と総括した。
次に中医協委員を務める林 正純副会長より、歯科の個別改定項目を抜粋した資料を基に具体的な解説がなされた。冒頭、林副会長は本改定を行うにあたり厚労省に対して、基本方針として大多数を占めるかかりつけ診療所が診療を継続できるような改定となるよう特段の配慮を求め、なかでも重視した項目として、賃金上昇や人材確保、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化などが挙げられた。
その後は、代表的な追加項目として(1)賃上げに向けた評価の新設、(2)口腔管理体制強化加算の施設基準(旧かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準)、(3)医療・介護・障害福祉サービスの連携強化にかかわる新項目や変更点――について詳説された。(1)では、歯科外来・在宅ベースアップ評価料Ⅰの初診時10点、再診時等2点およびⅠでは賃上げ率1.2%に満たない場合に加えて算定できる8段階の同評価料Ⅱについて解説した。(2)では、名称が変更されたこととともに在宅歯科医療にかかる連携体制加算が加わり、より地域包括ケアに則した評価の見直しがなされたこと、(3)では、口腔機能低下への対応の充実やリハビリテーション、栄養管理に関する項目などが新設され、重症化予防や未病の段階でのスクリーニングが評価されるようになったことが説明された。
その他にも、CAD/CAMインレー修復に対する光学印象法の新設や、大臼歯CAD/CAM冠の要件拡大など新規技術が保険収載された。全体をつうじて多職種連携や予防ならびに治療が一体となった継続管理に対する評価が手厚くなり、多職種連携の推進や病院歯科をはじめとする高次医療機関の機能強化、あわせてかかりつけ診療所との歯科-歯科連携の広がりに期待の高まる改定となった。
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