社会|2024年11月29日掲載
「マウスピース矯正のトラブル事例と安心安全に治療を受けるためのキーポイント」をテーマに
日本臨床矯正歯科医会、プレスセミナーを開催
さる11月28日(木)、大手町サンケイプラザ(東京都)において日本臨床矯正歯科医会(陶山 肇会長)によるプレスセミナーが「マウスピース矯正のトラブル事例と安心安全に治療を受けるためのキーポイント」をテーマに開催された。会場には報道各社、新聞系医療メディアおよび歯科出版関係者が参集した。
まず同会副会長の佐藤國彦氏(千葉県開業)より、「マウスピース矯正(アライナー型矯正装置による治療)に関する相談事例」と題して、モニターとして患者を集めた法人が詐欺商法として裁判所に提訴された事件をはじめ、アライナー矯正治療のトラブルが存在すること、また同会で一般の患者のために受け付けている「矯正歯科なんでも相談」から統計をとった矯正歯科治療に関するトラブルの中で、特にアライナー矯正治療の割合が多くなっている現状について述べられた。アライナーは適切に症例を選び治療を行えば、不正咬合が改善する矯正装置であり、アライナー矯正治療に対する患者のニーズが減らない以上、治療を提供し続けることになる歯科医療者の立場から、同会が安心安全な治療を受けてもらうための情報を患者に向けて発信していく主旨にて今回のセミナーを開催した旨も付け加えられた。
続いて同会学術理事の常盤 肇氏(東京都開業)より、「アライナー矯正のリアル―安心安全に行うために知っておいてほしいこと―」と題して症例供覧を含めた適切なアライナー矯正治療およびトラブルを抱えた患者が転院してきた事例について解説がなされた。氏は、問題として1)歯科矯正学の専門教育を受けていない歯科医師がアライナー矯正治療を診療科目として掲げてしまうこと、2)海外のベンチャー企業によるビジネスモデルの成功例を日本のベンチャー企業が追ってしまうこと、3)医療広告ガイドラインを無視した広告戦略、4)患者にとって企業が掲げる認定制度と日本矯正歯科学会(新井一仁理事長)のような公的団体による認定制度との区別がつきづらいことの4点を挙げた。
最後に再度佐藤氏が「マウスピース矯正(アライナー型矯正装置による治療)を安心安全に受けるためのKEYPOINT」と題し、治療を受けに行く前に国民が知っておいてほしい矯正歯科治療の本質的な目的や治療で必要な流れや検査について解説した。
講演後の質疑応答では活発な意見交換や質問が行われ、まずメディア側がアライナー矯正治療および矯正歯科治療への理解を深められるセミナーとなった。