社会|2025年5月26日掲載

和田淳一郎氏が「咬合挙上」をテーマにWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第71回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第71回WEBINARを開催

 さる5月22日(木)、和田淳一郎氏(東京科学大学)によるWEBINAR#71「咬合挙上を成功させるために覚えておきたい基礎知識と臨床手技」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは、和田氏と若林則幸氏(東京科学大学)による著書『咬合挙上 その意思決定と臨床手技』(小社刊)の内容に沿って行われた。

 講演で和田氏はまず、咬合高径の評価法、ならびに咬合挙上に関連する種々の歯科用語および基礎知識について文献を基に解説し、「水平的下顎位の決定は咬合挙上のスタートであり、これが不適切だと後の治療に重大な影響を及ぼす」とした。そのうえで、水平的下顎位を決定するための基準として、(1)中心位、(2)(収束した)タッピングポイント、(3)術前の咬頭嵌合位、の3つを挙げ、それぞれの臨床手順を解説した。

 次に、和田氏は、患者の顔貌がハイアングルなのかそれともローアングルなのかを事前に把握しておくことが咬合挙上の難易度のスクリーニングに有効であり、ハイアングルの場合で臼歯部の補綴スペース確保のために咬合挙上を行う場合、その治療難易度は非常に高くなるとした。また、重度tooth wearを呈する症例に対する咬合挙上には特に注意が必要であるとして、Turnerらが1984年に発表したいわゆる「Turnerらのカテゴリー分類」を紹介し、同分類のそれぞれの特徴と治療指針を概説した。

 さらに和田氏は、咬合挙上に関連して咬合平面の乱れを修正すべきか否かを俎上にのせ、修正が必要と考えられる諸条件を挙げてその再設定法を紹介した。また、その一方で、それら諸条件に当てはまらなければ、必ずしも咬合平面を修正する必要はないとの考えを示した。

 最後に、咬合挙上をともなう「中心位を基準とした咬合再構成」、「タッピング運動を基準とした咬合再構成」、「咬頭嵌合位を基準とした咬合再構成」の治療の実際をおのおの1症例ずつ紹介し、これらの各基準における治療を詳細に解説した.

 本WEBINARは2025年8月22日まで新規購入することができる。次回のWEBINAR#72は、きたる5月29日(木)、牧野正志氏(千葉県開業)、吉野智一氏(埼玉県開業)を招聘し、「アライナー矯正治療戦略 Ⅱ級不正咬合」の講演タイトルで開催予定。両セミナーの申込みはこちらから。

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