社会|2025年7月22日掲載
加治初彦氏が「LOT? 一般臨床を補完する矯正治療」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第75回WEBINARを開催

さる7月15日(火)、加治初彦氏(東京都開業)によるWEBINAR #75「「LOT? 一般臨床を補完する矯正治療」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。
本セミナーは、演者の執筆による著書『LOTを知る 考え方とその実践』の内容をベースに行われた。加治氏は藤本研修会、株式会社松風のコースでも長年講師を務めるこの領域のスペシャリスト。今回は、
・これから自身の臨床にLOT(Limited Orthodontic Treatment:限局矯正)を組み入れるには?
・今さら聞けないLOTとCOT(Comprehensive Orthodontic Treatment:包括的矯正)、MTM(Minor Tooth Movement:部分矯正)の違い
・LOTを行うにあたって最低限必要な矯正の知識とは?
について、講演は行われた。加治氏はつねづねLOTはGPが行う領域であることを力説しており、「LOTとは何?」、「実際COTとMTMとの違いは?」など、今さら聞けないLOTの基礎をGPの先生向けに語られた。
まず、LOTとPTM(病的歯牙移動:Pathologic Tooth Migration)について話はスタート。PTMの3分野(側方歯群の近心傾斜、上顎前歯のフレアリング、下顎前歯の叢生と挺出)を挙げながら症例を用いて解説。現代の高齢社会における矯正の4ステージ(早期治療、本格治療、審美的改善を主訴とした治療、切実なケース)のうち、審美的改善を主訴とした治療、切実なケースに属するPTM(PTM+捻転〔シザーズバイト含む〕に対する治療は切実なケース)をLOTの最適応症とした。
さらに近年矯正治療の領域では必須のアイテムとして考えられるようになったTAD(Temporary Anchored Device:アンカースクリュー、ミニインプラント)の有用性についても語り、TADを適応することで、固定源、安定した臼歯部咬合の確保、咬合高径の再獲得、干渉のコントロールを考えた場合に確実に治療の質を上げられることを強調し、アンカースクリューは補完的矯正導入の第一歩とした。
終始一貫して、多数歯のLOT(MTMの概念では括れない限局矯正:高齢社会で咬合の不安定化に対応する矯正の一分野)の考え方を述べた加治氏は、補完的な矯正(LOT)はGPが行う(COTは矯正専門医)べきものとの見解を示しながらも、診断系の理解(セファロ分析は必須:三次元的な歯の位置の診断)とエッジワイズ法の基礎を習得することの重要性を説く姿が印象的な講演となった。
なお、次回のWEBINAR #76は、きたる7月31日(木)、藤山光治氏(京都府開業)を招聘し、「“診ない”のに“診ている”アライナー矯正治療の次世代スタイル」と題して講演予定。今回の振り返り配信、次回WEBINARのお申し込みはいずれもこちらから。