学会|2025年7月22日掲載
「歯内療法の更なる飛躍―世界のPeakを目指して―」をテーマに
第46回日本歯内療法学会学術大会/第23回日韓合同歯内療法学会学術大会が開催
さる7月19日(土)、20日(日)の両日、松本歯科大学(長野県)において、第46回日本歯内療法学会学術大会/第23回日韓合同歯内療法学会学術大会(増田宜子大会長、柴 秀樹理事長)が「歯内療法の更なる飛躍―世界のPeakを目指して―」をテーマに開催された。
初日はまず、大会長の増田氏(松本歯科大学)、理事長の柴氏(広島大学)が開会の挨拶に立ち、その後、2日間にわたり、特別講演、歯科衛生士教育講演、一般口演、ポスター発表、テーブルクリニックなど多数のプログラムが行われた。
特別講演1では、登壇される予定であった故・斎藤一郎氏に代わり、宇田川信之氏(松本歯科大学)が、「骨はダイナミックに躍動している―歯槽骨吸収に関与する破骨細胞について―」と題して講演を行った。はじめは、故・斎藤氏が講演する予定であったドライマウスから考える全身の抗加齢医学に関して、その概要および加齢による酸化ストレスの発生メカニズムなどについて話した。その後、自身の講演内容に移り、骨粗鬆症と歯周病との関連について、文献を提示し、相互にリスク因子になりうると述べた。最後には、自身が「NHKのど自慢」に出演時の写真を供覧し参加者の笑いを誘い、「歌うことと笑うことは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、若さを保つ!」という故・斎藤氏の言葉を引用し、故人への敬意を示すとともに講演を終えた。
特別講演2では、昨年の大会長を務めた林 美加子氏(大阪大学)が「歯髄保護の臨床と研究の行方」と題して講演を行った。「どこまでう蝕を除去するか?」「どこまで歯髄を保存するか?」という2つの大項目に対して、ESE(ヨーロッパ歯内療法学会)とAAE(米国歯内療法学会)との考え方の相違や日本歯科保存学会における歯髄保護の考え方、深在性う蝕の定義などを話したうえで、文献を示しながら現状況における対応を述べた。その後、海外におけるVPT(vital pulp therapy:生活歯髄療法)の普及率や歯髄炎治療薬の開発について解説した。
特別講演などが行われたメイン会場には多くの参加者が参集し、サテライト会場にも多くの人が入場するほどの注目度であった。なお、次回の学術大会は、きたる2026年7月11日(土)、12日(日)の両日、福岡国際会議場(福岡県)において、前田英史大会長(九州大学)のもと開催予定となっている。